国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT、理事長: 徳田 英幸)は、2023年12月に開催されたGPAI(Global Partnership on AI、AIに関するグローバル・パートナーシップ)閣僚理事会において、日本政府の提案により、GPAIに所属するAIの専門家を支援する組織を東京に設置することが承認されたことを受け、パリ、モントリオールに続き、世界で三つ目の専門家支援センターとして、本日、NICT内にGPAI東京専門家支援センター(GPAI Tokyo Expert Support Center)を設置しました。
また、同センターのセンター長に、原山優子 東北大学名誉教授が就任しました。
NICTは、広島AIプロセスの推進も含め、AIに関する国際的なパートナーシップを一層推進していきます。
背景
GPAIは、2020年6月に発足しました。日本は当初から参画し、2022年11月には東京で「GPAIサミット」を開催しました。
2023年10月30日に合意された「広島AIプロセスに関するG7首脳声明」において、G7首脳は、「高度なAIシステムを開発する組織向けの広島プロセス国際指針」及び「高度なAIシステムを開発する組織向けの広島プロセス国際行動規範」を歓迎するとともに、関係閣僚に対し、GPAI等とのプロジェクトベースの協力を更に前進させることを求めました。
また、2023年12月1日に合意された「広島AIプロセス G7デジタル・技術閣僚声明」において、プロジェクトベースの協力に関し、GPAI東京センターが支援するプロジェクトを含め、広島AIプロセスの成果の実装支援に貢献する生成AIに関するプロジェクトを歓迎することが盛り込まれました。
GPAI東京専門家支援センターの設置
GPAIには実証的な知見に根ざしたプロジェクト活動の推進が期待されていることから、日本政府は、上記国際指針及び行動規範の内容を実現するための調査研究を支援し、生成AIの政策立案のためのエビデンスを蓄積するプロジェクトを始めとする活動を推進するため、2023年12月13日のGPAI閣僚理事会で、GPAI東京専門家支援センターの設立を提案し、承認されました。
これを踏まえ、NICT内にGPAI東京専門家支援センターを設置し、原山優子 東北大学名誉教授がセンター長に就任しました。
GPAI東京専門家支援センターでは、GPAIの枠組みの下、広島AIプロセスを推進する生成AIに関するインパクトのあるプロジェクトを始め、GPAIの専門家による調査研究やプロジェクトに対し、運営・管理面での支援を提供します。
GPAI東京専門家支援センターの詳細については、以下のWebサイトもご参照ください。
原山センター長の経歴
1996年 スイス・ジュネーブ大学院教育学研究科博士課程修了
1997年 スイス・ジュネーブ大学院経済学研究科博士課程修了
1998年 スイス・ジュネーブ大学経済学部 助教授
2001年 独立行政法人経済産業研究所 研究員
2002年 国立大学法人東北大学大学院工学研究科 教授
2006年 総合科学技術会議 議員(非常勤)
2007年 Compagnie de Saint-Gobain 外部取締役
2008年 仙台市教育委員会 委員
2010年 経済協力開発機構(OECD)科学技術産業局 次長
2013年 国立大学法人東北大学 名誉教授
総合科学技術会議 議員(常勤)
総合科学技術・イノベーション会議 議員(常勤)
2020年 国立研究開発法人理化学研究所 理事
2021年 スウェーデン王立工学アカデミー International Fellow
2023年 東レ株式会社 社外取締役(現)
2024年 国立大学法人山口大学 理事(非常勤)(現)
原山センター長の受賞歴
2011年 フランス政府レジオン・ドヌール勲章シュヴァリエ受賞今後の展望
NICTは、「高度なAIシステムを開発する組織向けの広島プロセス国際指針」及び「高度なAIシステムを開発する組織向けの広島プロセス国際行動規範」等、広島AIプロセスの推進も含め、AIに関する国際的なパートナーシップを一層推進していきます。なお、NICTでは、AIに関する研究開発・調査を機構横断的に推進する新しい組織の立ち上げを検討しています。
※GPAI
GPAIは、AI関連の優先事項に関する最先端の調査研究と応用活動を支援することにより、AIに関する理論と実践の間のギャップを埋めることを目的とする、産業界、市民社会、国際機関、政府、学界から、価値観を共有する専門家を集めたマルチステークホルダーのイニシアティブで、2020年6月に発足しました。
GPAIは、OECDの「AI(人工知能)に関する理事会勧告」(OECD・AI原則)への支持に基づき構築されており、意欲的な人材と専門知識を結集し、国際協力を促進しています。また、国際協力を促進し、AIの課題に関する世界的な参照先となるべく行動することで、AIへの信用が広がり普及が進むよう、学際的な研究を共有し、AI実務者の間で重要な問題を特定するためのメカニズムを提供することを目指しています。
2024年6月現在、アルゼンチン、オーストラリア、ベルギー、ブラジル、カナダ、チェコ、デンマーク、フランス、ドイツ、インド、アイルランド、イスラエル、イタリア、日本、メキシコ、オランダ、ニュージーランド、ポーランド、韓国、セネガル、セルビア、シンガポール、スロベニア、スペイン、スウェーデン、トルコ、英国、米国、欧州連合の29の国と地域が参加しています。