先端ICTデバイスラボには、埃の非常に少ない状態に維持されたクリーンルーム(プロセス室)が設置され、中には、電子線や光による極微パターンの形成、分子線やプラズマによる高純度成膜、イオン線などによる極微細加工、電極形成や光ファイバとの接続、あるいは電子顕微鏡ほかによる微細形状観測や元素分析、その他各種のプロセスや測定のための設備・装置群が配備されていて、半導体や誘電体材料を用いた、様々な光デバイス・ミリ波デバイスの試作研究開発に活用することができます。熟練技術者グループが、それら設備・装置が常に適切な状態で使用できるように維持管理し、また、標準的な使用条件を利用者に提供できる態勢を整えています。防災のための安全対策や、廃棄物、あるいは排気、排水、騒音などに係る環境保全にも最大限に配慮しています。利用者が、光デバイス・ミリ波デバイスの試作研究開発に専念することができる環境を提供します。

ラボについて

ごあいさつ

 情報通信研究機構では,2004年2月に新しい開放的な研究施設として,光デバイス技術センターを発足させ、2006年4月の組織改編にともない「フォトニックデバイスラボ」と名を改めました.さらに、2012年4月25日にミリ波デバイス技術のラボを統合したプロジェクト「先端ICTデバイスラボ」を立ち上げました。広く産学官の皆様方と連携して,次世代,次次世代の情報通信システム実現の鍵となる,新しいタンジブル光技術の研究開発に挑戦して行くための,これまでにない,開かれた研究拠点に育てたいと考えております.施設・設備の維持管理を確実にし,内外の研究者の皆様が思う存分活用できるよう,運営方法を工夫し、2013年度末には設備・装置の一新を図り、改善に務めています。

背景

 急速に進むIT化社会への流れを支えるには,情報通信システム技術の,たゆみない発展が不可欠です。そして,新しい,より高度なシステムの実現には,最先端の光デバイス技術・ミリ波技術の研究開発を,強力に推進することが極めて重要です。一方,社会,とりわけ企業活動における競争原理の浸透と共に,産業界が支える研究開発においても,テーマの選択や投資の集中が進み,中・長期的視野に立った,リスクの高い先行的デバイス研究への投資は滞りがちとなって,技術開発力の将来に対する不安感の高まりも指摘されています。このような中で,中立性・公共性の高い情報通信技術研究機関であるNICTが,新しく発足した先端ICTデバイス研究拠点を広く社会に公開し,他と連携して研究開発を進める体制を整えることが重要と考えています。

ラボの概要

 先端ICTデバイスラボには,埃の非常に少ない状態に維持されたクリーンルーム(プロセス室)が設置され,中には,電子線や光による極微パターンの形成,分子線やプラズマによる高純度成膜,イオン線などによる極微細加工,電極形成や光ファイバとの接続,あるいは電子顕微鏡ほかによる微細形状観測や元素分析,その他各種のプロセスや測定のための設備・装置群が配備されていて,半導体や誘電体材料を用いた,様々な光デバイス・ミリ波デバイスの試作研究開発に活用することができます。熟練技術者グループが,それら設備・装置が常に適切な状態で使用できるように維持管理し,また,標準的な使用条件を利用者に提供できる態勢を整えています.防災のための安全対策や,廃棄物,あるいは排気,排水,騒音などに係る環境保全にも最大限に配慮しています.利用者が,光デバイス・ミリ波デバイスの試作研究開発に専念することができる環境を提供します。

ラボの特色

 情報通信研究機構は,情報通信技術に関連する全ての領域に渡って研究開発を進めていますので,その中で行われているデバイス研究は,情報通信システムへの応用に重心が置かれている点に,特色があります。

ラボの運営と利用

 先端ICTデバイスラボは,NICTの施設として,機構内関連研究グループが協力して,運営・維持管理が行われていますが,産学官連携研究を推進する観点から,可能な限り開かれた研究施設として運用しています。NICT外の他グループによる施設の利用は,主に関連研究グループとの共同研究体制の下で実施しておりますが,有償利用化も始めました。より利用しやすい研究拠点に発展させる計画です。


  • 有償利用制度:NICT 施設等供用制度について

ラボの沿革

光デバイスセンターを考える会 1998年10月 実施
調査研究:通総研における光情報通信デバイス研究の在り方 1999年3月 報告
要望:「光デバイス研究開発センター(仮称)」」の設置 1999年4月 提出
クリーンルーム性能条件に関する調査 2000年1月 報告
「光デバイス技術センター」の建設  2001年3月 竣工
クリーンルーム運用  2001年5月 開始
MBE装置等立上げ・運用  2001年6月 開始
光デバイス技術センター設備改修工事  2002年7月 完工
デバイス製造装置の設置  2003年7月 完了
光デバイス技術センターWWWサイトの公開  2004年2月 開始
光デバイス技術センター・フォーラム  2004年2月 実施
 共同研究の提案募集  2004年10月 開始
 「フォトニックデバイスラボ」に改称  2006年5月 実施
 ラボの環境マネジメントシステムのISO14001認証(審査登録)  2007年2月 登録
 「先端ICTデバイスラボ」に改称  2012年4月 実施
 ラボの環境マネジメントシステムのISO14001認証拡大(更新審査)  2012年12月 登録
新設備・装置の運用開始  2014年4月 開始
 

環境マネジメントの取組み

 情報通信研究機構は、情報通信分野における国の唯一の研究機関として、情報通信技術の研究開発を基礎から応用まで一貫した統合的な視点で推進していますが、そのなかで先端ICTデバイスラボでは、急速に進むIT化社会を支える将来の情報通信システムの鍵となる光デバイス技術・ミリ波デバイス技術の研究開発を、内部・外部の研究者が協力・支援して行っています。

わたくしたちは、最先端のデバイス研究開発においても地球規模の環境を視野に入れて行うことが最重要課題の一つであると認識し、ラボ施設の維持管理にあたっては環境保全に最大限配慮します。

このため、先端ICTデバイスラボでは、ラボ施設の維持管理において、環境マネジメントシステムの国際規格であるISO14001に準拠した環境マネジメントシステムの構築と改善を進め、平成18年7月よりISO14001認証(審査登録)の取得に向けた活動を開始し、平成19年2月に(財)日本規格協会の審査を受けた結果、登録(フォトニックデバイスラボ)されました。その後、ミリ波デバイス技術のラボを統合して先端ICTデバイスラボとして更新審査を受け、登録されました。


先端ICTデバイスラボにおけるISO14001の経緯

200612

準備作業

ラボの現状把握を実施

20067
8

環境マネジメント
システムの再構築

ラボの環境マニュアルを作成

環境マネジメントシステム推進委員会を発足

環境マネジメントの組織体制を整備

フォトニックデバイスラボ環境方針を制定

環境管理計画

環境目的・目標を決定/2006年度実施計画をスタート

20061110

内部監査実施

20061130

外部機関による
ISO14001
審査登録

第一段階登録審査

200727

第二段階登録審査

2007226

審査登録

201212

ISO14001更新審査

ミリ波デバイス関連を統合、先端ICTデバイスラボとしての環境マネジメントシステムに対する審査

20132

ISO14001更新登録

先端ICTデバイスラボとしてISO14001認証登録

20172

ISO14001更新登録

2015年版の規格への移行完了
環境マネジメントシステム永年登録表彰


登録情報

概要:

先端ICTデバイスラボでは環境マネジメントシステムを構築しISO14001認証登録をしています。

登録者及び所在地:

国立研究開発法人 情報通信研究機構 
先端ICTデバイスラボ
184-8795 東京都小金井市貫井北町四丁目21

適用範囲:

フォトニックデバイスラボ
ミリ波デバイス研究棟(1F並びに2F通信機器試作評価実験室)

認証機関名:

日本規格協会ソリューションズ株式会社

登録番号:

JSAE 1317

適用規格:

JIS Q 140012015, ISO 140012015

登録範囲:

 (JAB認定範囲番号;34)
先端ICTデバイスラボの共通設備、個別装置の維持運用
(1)
施設利用者への環境に配慮した施設利用の啓発
(2)
省エネルギー(電力)
(3)
省資源化(PPC用紙)
(4)
グリーン調達・購入
を推進するための環境マネジメントシステム

初回登録日:

2007226

フォトニックデバイス関連施設の概要

 フォトニックデバイス関連施設は地下1階・地上1階建てで、建物内に事務室の他、クリンルームなど4つの実験室、及びそれらの実験環境を支える機械設備が設けられています。屋外には液化窒素CE(コールド・エバポレータ)設備も設置され、窒素ガスや液化窒素を供給しています。
実験室

実験室には、「クリンルーム」と「測定室」とがあります。

クリンルームには各種のプロセス用装置を配置してあり、結晶基板上へのエピ成長から、誘電体・金属薄膜の成膜、微細パターン形成、ドライエッチング加工など様々なプロセスの実験が可能です。


   クリンルーム1:一般プロセス用  クリンルーム2:リソグラフィプロセス用
 室面積  約420平方メートル (天井高2.8m)  約76平方メートル (天井高2.8m)
 空気清浄度  クラス10,000  クラス100
 室温  23±2 ℃  23±2 ℃
 湿度  45±10% (RH)  45±10% (RH)
 室内圧  +15 Pa  +25 Pa
 その他    黄色照明

測定室では、光デバイスの光学特性評価、基礎的な光物性評価を行うための種々の測定機器が利用できます。

測定室1・・・PL(蛍光)、光吸収・透過など基礎光物性の測定

測定室2・・・微細構造・形状の観察・分析、パッケージなど



 共通設備

クリンルームには共通ユーティリティとして、超純水、循環冷却水、窒素ガス、液化窒素、高圧空気などが供給されており、プロセス装置の24時間運転を可能にしています。

(左)廃液処理設備/液化窒素CE設備(右)

また、廃液の回収処理設備、プロセス排ガス除害設備、ガス漏洩検知警報システム、複数のカメラによる映像監視システムなどの設備により、環境・安全対策を図っています。

ミリ波テラヘルツ波デバイス関連施設の概要

 ミリ波デバイス関連施設は地上2階建てで、クリンルームなど5つの実験室、及びそれらの実験環境を支える機械設備が設けられています。半導体プロセス、基板加工、材料評価、高周波評価など、先端ICTデバイスの作製から評価までを一貫してオールインワンで研究できる環境を提供しています。
 クリーンルーム(ミリ波研究棟1階)

 

クリンルームには各種のプロセス用装置を配置してあり、半導体基板上への各種薄膜成長から、誘電体・金属薄膜の成膜、微細パターン形成、ドライエッチング加工など様々なプロセスの実験が可能です。

設置装置・・・メタルスパッタ装置、電子ビーム露光装置、マスクアライナー、ドライエッチング装置、ランプ加熱装置、表面微細形状計測装置、各種ドラフタ、レジスト塗布装置、純水供給設備など



103基板加工室(ミリ波研究棟1階)

基板加工室では、ダイシング、バックグライディング、ウェハ洗浄などの後工程プロセス装置が利用できます(上図)。

なお、テープマウンタ、エキスパンダー、UV照射器、ブレーカーは203評価室に設置しています(下図)。

設置装置・・・レーザーソー、ダイシングソー、バックグラインダ、ウェハ洗浄装置、純水リサイクル装置、測定顕微鏡、膜厚計など

108分析室(ミリ波研究棟1階)

分析室では、デバイスへの電極形成のための真空蒸着装置やPL測定やX線回折などの種々のプロセス装置・評価機器が利用できます。

設置装置・・・EB蒸着装置、小型抵抗蒸着装置、PL測定装置、XRD、ラマン分光装置、FTIRなど

203評価室(ミリ波研究棟2階)

評価室では、ネットワークアナライザなどによりSパラメータ測定などデバイス特性評価を行うための種々の高周波計測機器が利用できます。

設置機器・・・ネットワークアナライザ、周波数エクステンダ、プローブステーション、半導体パラメータアナライザ、信号発生器、スペクトラムアナライザなど

207実験室(ミリ波研究棟2階)

207実験室には、テラヘルツ帯の電磁波で材料特性等を評価する小型高速テラヘルツ時間領域分光装置が設置されています。

神戸施設の概要

  2016年度4月から先端ICTデバイスラボ小金井拠点とNICT中長期計画の研究課題を支える拠点として神戸クリーンルーム棟を一体運用で立ち上がりました。
 
有機ナノ材料や超伝導材料など革新的な材料開発や物性科学を基礎とし、ナノレベルの精密な加工技術と組み合わせることによって機能的なICTデバイスへと昇華、次世代の情報通信技術のブレークスルーを目指し、これらの材料利用に特化した薄膜製造装置や微細デバイス加工プロセス装置、さらには、材料物性やデバイス特性評価のために必要な様々な装置を運用しています。
設計から試作、評価を一貫して実現できる拠点です。
2018年度における内外の利用者総数はのべ1,941名(前年比105名増)を数え、活発かつ有効な装置・施設利用が進んでいます。

ナノ機能集積ICT研究室

超高速・低消費電力を実現する電気光学ポリマー(EOポリマー)デバイスの研究等。
特異な機能を持つ有機材料(炭素を主な材料として、酸素、水素、窒素原子などと結合したものの総称。例:プラスチックなど)と無機材料(有機材料以外のものの総称。例:セラミックスや金属など)をナノサイズ(1ナノ=1㎜の1000000分の1)で組み合わせて、超高速・低消費電力の光制御デバイスを実現する研究開発。

超伝導ICT研究室

電気抵抗ゼロという超伝導現象を利用した全く新しい原理で動作する超伝導デバイスを研究開発。具体的には、窒化物材料(窒素と金属元素の化合物)をコア技術として
・超高感度な電波・光子(光の粒子)検出器
・AIの処理を格段に加速させる超伝導量子ビットデバイス
・超高速・低消費電力で動作するデジタル信号処理回路
の研究開発。

共同研究

共同研究の提案募集のご案内

 当ラボでは,産学官の連携を強化することにより,より柔軟な発想のもとに,より豊かな成果を挙げることを目指し,また同時に,施設・設備の一層の有効利用を計るため,広く共同研究のご提案を募ることとしました。

先端ICTデバイスラボは,NICTが,光デバイスとミリ波デバイスの研究開発を推進するために運営する研究施設です。設置している様々な設備・装置は,常に良い状態で作業に使用できるよう,保守管理には十分な努力を払っています。

NICTで実施する共同研究は,共同研究契約を結ぶ双方が,共通の研究開発目標に向けて対等な立場で協力して研究を進めるもので,成果も双方平等に分配します。知的所有権の取扱い,守秘義務などについても,当方の対応できる範囲で最大限ご要求に配慮します。

頂いた共同研究ご提案は,まず当ラボ選考委員会において,ラボの利用状況を勘案し,実施させて頂くかどうか,前向きに,慎重に検討いたします。実施の可能性があると判断いたしました場合には,面談の機会を設けて,研究内容をより具体的にご相談させていただきます.産学官を問わず,奮ってご提案を賜りたく存じます。

ご提案書は,概ねA4用紙1~2枚程度に入る分量にて,下記項目を適宜お書き頂き,専用コンタクトアドレス宛,電子メールにてお送り下さい。
共同研究提案様式

 ご提案日  
 ご提案者氏名・所属  
 ご連絡先  
 共同研究題目  
 研究の背景  
 研究の概要  
 期待される成果  
 研究計画概要  
専用コンタクトアドレス  AICT.inquiry@ml.nict.go.jp
国立研究開発法人 情報通信研究機構
先端ICTデバイスラボ 事務局
 

研究成果

 ただいま準備中です。

問合せ

 お問い合わせは右記先端ICTデバイスラボ事務局へ
お願いいたします。
土曜、日曜、祝祭日については受付をしておりません。
電子メールは常時受信可能ですが、
お問い合わせへのお返事は休日明け以降となります。
・郵便等宛先
〒184-8795

東京都小金井市貫井北町4-2-1
国立研究開発法人 情報通信研究機構
先端ICTデバイスラボ 事務局

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AICT.inquiry@ml.nict.go.jp