「革新的情報通信技術(Beyond 5G(6G))基金事業」
令和5年度社会実装・海外展開志向型戦略的プログラムの公募(第1回)の結果

2023年11月6日

国立研究開発法人情報通信研究機構

国立研究開発法人情報通信研究機構(NICTエヌアイシーティー、理事長: 徳田 英幸)は、「革新的情報通信技術(Beyond 5G(6G))基金事業」に係る令和5年度社会実装・海外展開志向型戦略的プログラムの公募(第1回)について、2023年10月31日に交付決定しました。交付決定された研究開発プロジェクトの概要は下記のとおりです。
 

I. 交付決定された研究開発プロジェクトと提案者

1.オール光ネットワーク関連技術

【研究開発プロジェクト①】
名称:1T超級光トランスポート用DSP回路実装技術に関する研究開発プロジェクト
提案者:NTTイノベーティブデバイス株式会社(代表提案者)、日本電信電話株式会社、富士通株式会社、日本電気株式会社
概要:Beyond 5G(6G)の基盤となる高速大容量・低遅延・低消費電力・高信頼な光ネットワークを構成する光伝送装置を実現する最重要デバイスとなる1T超級光トランスポート用信号処理回路(DSP)の回路実装技術を研究開発する。デジタルコヒーレント光伝送用デジタル信号処理について最先端半導体プロセスを用いて小規模・低消費電力で回路実装する基盤技術を確立し、評価用DSPを試作し、1波長当たり1.6 Tbpsのデータレートを実現し、現在商用システムに広く普及している1波長当たり100 Gbpsの光トランスポート用DSPと比較して、データレート当たりの消費電力で1/10を達成する。
交付決定額:23億3,500万円(令和5年度〜令和6年度(ステージゲート評価実施年度))
研究開発期間:令和5年度〜令和9年度

【研究開発プロジェクト②】
名称:オール光ネットワークのサービス機能向上技術及び遠隔制御対応光トランシーバ構成技術に関する研究開発プロジェクト
提案者:日本電信電話株式会社(代表提案者)、三菱電機株式会社、住友電気工業株式会社、富士通株式会社、日本電気株式会社
概要:Beyond 5G(6G)ではデバイスからサービス/アプリケーションまでのEnd−Endで、品質保証や低遅延を実現する必要がある。ユースケースの多様化により多数かつ分散が進む基地局とデータセンタ(DC)において、多数の基地局接続やDC間接続を、厳しいネットワーク品質要件(帯域や遅延、遅延変動量を基地局接続ならマイクロ秒、DC間接続では1〜2ミリ秒以内、等)を満足しつつ接続することが求められるが、従来のパケットネットワークやダークファイバでは対応が困難である。そこで本研究開発により、基地局接続やDC間接続の厳しいネットワーク品質要求を満たせる「オール光ネットワーク」を実現する。
交付決定額:13億8,287万円(令和5年度〜令和6年度(ステージゲート評価実施年度))
研究開発期間:令和5年度〜令和8年度

【研究開発プロジェクト③】
名称:超大容量・高品質光ネットワークノード技術に関する研究開発プロジェクト
提案者:日本電気株式会社
概要:光ファイバコアあたりの多重波長数の拡大、1波あたりの周波数利用効率の向上に合わせた伝送品質の飛躍的改善、さらに消費電力の大幅な低減を図ることにより、通信事業者をはじめとした光ネットワーク機器ユーザのCAPEX/OPEXを改善し、Beyond 5G(6G)世代に求められる大容量・高伝送品質光ネットワークの円滑な社会実装を実現する。
※CAPEX/OPEX:CAPital EXpenditure/OPerating EXpenditure 設備投資及び導入に必要なコスト/保守、運用及び維持管理に必要なコスト
交付決定額:8億5,000万円(令和5年度〜令和6年度(ステージゲート評価実施年度))
研究開発期間:令和5年度〜令和8年度

【研究開発プロジェクト④】
名称:Beyond 5G(6G)アクセスネットワーク装置の小型化・低消費電力化技術に関する研究開発プロジェクト
提案者:富士通株式会社(代表提案者)、NTTイノベーティブデバイス株式会社
概要:無線系アクセスネットワークと光系アクセスネットワークを、伝送容量を従来比で10倍以上に拡大し、同時にギガビットあたりのサイズ・消費電力を従来比で小型無線基地局は1/3以下、モバイルアクセス用光システムは1/4以下に低減させる。これらのネットワークシステムを支えるキーデバイスとして、光電融合型光エンジンを開発し、光系アクセスネットワークで100 Gbps以上、ミリ波帯無線アクセスネットワークで10 Gbps以上のデータ伝送速度を実現する。特に基地局無線機(RU: Radio Unit)については、光系デバイスと無線系デバイスとを光電融合技術を用いて集積実装し、量産性を向上させた1モジュール化RUを新たに開発して小型・低コスト化を実現し、無線基地局の高密度配置が必要となるミリ波帯RUの市場を切り開く。
交付決定額:11億2,500万円(令和5年度〜令和6年度(ステージゲート評価実施年度))
研究開発期間:令和5年度〜令和9年度

2.非地上系ネットワーク関連技術

【研究開発プロジェクト①】
名称:LEO/MEO衛星向け地上局用フラットパネルアンテナ技術に関する研究開発プロジェクト
提案者:シャープ株式会社
概要:本プロジェクトでは、LEO/MEO衛星向けKa/Ku帯デュアルバンド対応フラットパネルアンテナの技術開発に取り組む。具体的には、将来の広帯域化を見据えたKa/Ku帯デュアルバンド対応と小型・低価格化の両立を実現した衛星向けフラットパネルアンテナの技術開発を行うとともに、開発されたアンテナを実装したユーザ端末の開発も行う。また、開発されたアンテナの市場拡大に向けて、衛星通信のユースケース拡大を意識した概念実証を行うとともに、衛星通信で用いられる無線通信・映像符号化が国際標準に将来準拠していくことを想定し、長期の事業継続に不可欠となる無線通信技術・映像符号化技術の国際標準化・知財の獲得を行う。
※LEO/MEO:Low Earth Orbit/Medium Earth Orbit 地球低軌道/地球中軌道
交付決定額:13億5,000万円(令和5年度〜令和6年度(ステージゲート評価実施年度))
研究開発期間:令和5年度〜令和9年度

【研究開発プロジェクト②】
名称:次世代大容量小型宇宙光通信システムの技術に関する研究開発プロジェクト

(交付決定2件)

提案者:ソフトバンク株式会社
概要:NTN※1通信の実用化に向けて、小型光通信システムの実現、特に光無線装置の開発は喫緊の課題となっている。一方で現状のNTN向け光無線装置は、設置搭載にあたって小型化が不十分、相互接続性の欠如、対地通信能力の不足、極めて高価といった課題が存在している。本プロジェクトでは、小型化・相互接続性・通信能力・コストなどの課題解決を目的に、その主要コンポーネントを地上・航空・宇宙で共通化することを念頭に置いた光無線装置の実証機を開発し、地上・成層圏・LEO※2での実証を行う。
※1. NTN:Non-Terrestrial Network 地上、海、空にある移動体を多層的につなげる通信ネットワークシステム
※2. LEO:Low Earth Orbit 地球低軌道
交付決定額:7,950万円(令和5年度〜令和6年度(ステージゲート評価実施年度))
研究開発期間:令和5年度〜令和9年度

提案者:ソニーグループ株式会社
概要:Beyond 5G(6G)の非地上系ネットワークでは光通信の大容量化等が求められており、宇宙光通信システムの小型化、大容量化、低消費電力化及び量産化が喫緊の課題である。本研究では民生品ベースとした宇宙光通信システムの技術開発及び大容量(10 Gbps以上)光信号処理技術開発を行い、その課題の解決を目指す。また、欧米を中心に拡大中のグローバル市場の宇宙光通信システムの需要に対応するため、量産化実現に向けた宇宙光通信システムの試作及びその軌道上でのプロトタイプ実証を行うことを目指す。
交付決定額:17億1,107万円(令和5年度〜令和6年度(ステージゲート評価実施年度))
研究開発期間:令和5年度〜令和9年度

3.セキュアな仮想化・統合ネットワーク関連技術

【研究開発プロジェクト①】
名称:Beyond 5G(6G)ネットワークの通信制御・データ通信処理ソフトウェア技術に関する研究開発プロジェクト
提案者:日本電気株式会社
概要:持続的に成長する社会を支える情報通信インフラとしてのBeyond 5G(6G)世代ネットワークに必須となる、ネットワークシステム全体としての柔軟性・拡張性、高信頼性・高い回復力、効率性を達成するため、オープンかつデファクト技術をベースとした、コアネットワークのアーキテクチャ、通信制御ソフトウェア及びデータ通信処理ソフトウェアの研究開発を進める。本研究では、社会インフラとテレコムサービス要件に関わる高信頼性・継続進化の実現と、省エネルギー・超高性能に関わる技術開発を追求し、通信制御・データ通信処理ソフトウェア製品の競争力を高め、国際市場でのシェアを確保する。
交付決定額:18億6,345万円(令和5年度〜令和6年度(ステージゲート評価実施年度))
研究開発期間:令和5年度〜令和9年度

【研究開発プロジェクト②】
名称:Beyond 5G(6G)における無線基地局の高機能・高性能・高信頼性・低消費電力化技術に関する研究開発プロジェクト
提案者:日本電気株式会社
概要:専用ハードウェアで実現している既存基地局に対してTCO、性能面で劣る仮想化基地局について、仮想化のメリットを活かした柔軟で高い信頼性及び高性能を実現する技術を開発する。また、Beyond 5G(6G)無線基地局向け無線装置の共通プラットフォーム、Sub6帯高効率パワーアンプの要素技術開発を行い、これらを組み合わせることで高速大容量・高機能・高性能を低消費電力で実現するSub6帯の無線製品ポートフォリオ拡充を効率的に実現し、競合企業に先んじて市場に継続的に投入する。
※TCO:Total Cost of Ownership 導入コスト、ランニングコストなど、経営上計上が必要なコストの総額
交付決定額:17億2,926万円(令和5年度〜令和6年度(ステージゲート評価実施年度))
研究開発期間:令和5年度〜令和9年度

【研究開発プロジェクト③】
名称:次世代通信に向けたエッジクラウドの高度化技術に関する研究開発プロジェクト
提案者:楽天モバイル株式会社
概要:テレコムのエッジクラウドは、全国への通信エリア展開に伴い数千規模となっており、セントラルデータセンターでの膨大なデータの集中管理が課題となっている。また、エッジデータセンターは物理的なスペースが限られており、アプリケーション向けのリソースを潤沢に用意できず、セントラルデータセンターとの連携がより重要性を増してきている。上記課題の解決に向け、本プロジェクトでは、エッジクラウド向けプラットフォームの要素技術開発及びテレコム事業規模での実証に取り組む。また、Beyond 5G(6G)を見据えた将来のMECユースケースに備えたプラットフォームの低遅延・性能強化により、本技術の有効性を確かにし、当該プラットフォームの販売力の強化を目指す。
※MEC:Mobile Edge Computing 移動通信網のエッジである基地局などにサーバーを分散配置することにより上流でのネットワーク負荷を抑え、低遅延・高速化を実現する技術
交付決定額:39億7,177万円(令和5年度〜令和6年度(ステージゲート評価実施年度))
研究開発期間:令和5年度〜令和9年度

【研究開発プロジェクト④】
名称:マルチドメインルーティング・認証管理基盤技術に関する研究開発プロジェクト
提案者:BBSakura Networks株式会社
概要:デジタルツイン社会の到来に備え、陸・海・空・宇宙のあらゆる場所から、平時・災害時を問わず、安定して利用することができる新たな通信環境を早期に実現することを目指し、多様なネットワークや関連リソースを統合・管理する、次に掲げる新たなSDN関連技術の開発と関連事業活動を推進する。①ソフトウェアで実装された通信基盤(集約装置等)を用いて、物理的な設置場所に依存しない柔軟なネットワークリソースのスケールアウトを可能とする技術の開発、②固定通信網(Wi-Fiを含む)と移動通信網、NTN網をシームレスに統合・管理する技術の開発
※SDN:Software Defined Networking ネットワーク機器の仮想化などにより、ネットワークをソフトウェアで一元管理・制御する技術
交付決定額:3億1,382万円(令和5年度〜令和6年度(ステージゲート評価実施年度))
研究開発期間:令和5年度〜令和9年度

II. 公募等の概要

本プログラムについては、2023年8月1日(火)〜同年8月31日(木)まで公募を行いました。
NICTは、外部の学識経験者・有識者で構成される評価委員会の評価等を踏まえ、交付決定しました。
公募の詳細は、以下のWebサイトをご参照ください。

本件に関する問合せ先

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広報

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