令和5年度情報バリアフリー通信・放送役務提供・開発推進助成金の交付決定

2023年6月27日

国立研究開発法人情報通信研究機構

国立研究開発法人情報通信研究機構(NICTエヌアイシーティー、理事長: 徳田 英幸)は、令和5年度情報バリアフリー通信・放送役務提供・開発推進助成金(注)の助成対象事業を決定しましたので、下記のとおりお知らせします。
(注) 身体障害者のための通信・放送役務の提供又は開発に必要な資金について、NICTが予算の範囲内で必要な助成措置を講ずることにより、通信・放送役務の利用に関する身体障害者の利便の増進に資することを目的としており、平成13年度から実施しています。

1. 助成金を交付する事業(助成対象事業)の決定

助成対象事業の公募(令和5年2月1日(水)〜3月30日(木)実施)に申請のあった11件の事業について、評価委員会(外部有識者7名で組織)による評価を行い、その結果を基に、次の6件を交付決定しました。

 
事業の名称
事業者名
所在地
1 視覚障がい者向け歩行支援サービスの開発 株式会社コンピュータサイエンス研究所 福岡県
2 AI/ChatGPTによる視覚障害者歩行支援情報提供システム 株式会社デジタルアテンダント 東京都
3 AIを用いた手話動画認識による手話コミュニケーションの研究開発 BIPROGY株式会社 東京都
4 聴覚障害者向け遠隔手話通訳サービスモデルプロジェクトの役務提供 株式会社プラスヴォイス 宮城県
5 補装具利用者向け補装具管理および管理プッシュ型情報提供システムの開発 株式会社ミライロ 大阪府
6 映画・映像・舞台芸術等に対応したクラウド型情報保障サービスの提供 特定非営利活動法人メディア・アクセス・サポートセンター 東京都
(事業者名は五十音順)

2. 交付決定総額

45,655,000円

3. 助成対象事業の概要

別紙のとおり

4. 関連する報道発表

別紙

1
助成対象事業名 視覚障がい者向け歩行支援サービスの開発
助成対象事業者 株式会社コンピュータサイエンス研究所
【事業概要】
視覚障がい者向け歩行支援サービスは、視覚障害を持つ方の安心安全な歩行を支援するスマートフォンアプリです。健常者が利用可能なナビゲーションサービスを、視覚障がい者でも利用できるようにします。また、健常者が視覚情報から歩道上の情報を容易に入手できるように、歩道上の障害物情報をスマートフォンのカメラがとらえてAI が障害物や目標物を検出し、それを音声で伝えることで情報を補完して、視覚障がい者の歩行を支援します。
 
【事業イメージ】
2
助成対象事業名 AI/ChatGPTによる視覚障害者歩行支援情報提供システム
助成対象事業者 株式会社デジタルアテンダント

【事業概要】

視覚障害者は、移動・歩行障害および情報障害とも言われています。視覚障害者向け支援機器『ダイナグラス(DG)』の“アクティブ・フットプリント(AFP)機能”は、晴眼者および視覚障害ユーザー同士が工事現場や危険物などのハザード情報をネットワークを介してリアルタイムで共有し合う機能です。この機能は最先端のAI技術を用いた世界初のものです。本開発・実装により視覚障害者が施設内および屋外を安全・安心して移動できることが期待されます。これにより視覚障害者のQOLを大幅に向上させ、共生社会の実現を目指します。

【事業イメージ】

3
助成対象事業名 AIを用いた手話動画認識による手話コミュニケーションの研究開発
助成対象事業者 BIPROGY株式会社

【事業概要】

人工知能(AI)による手話動作認識のためのモデル、およびそのモデルを使った手話翻訳の研究開発を行う。聞こえない人(手話コミュニケーション)と聞こえる人(音声コミュニケーション)の間にAIが入ることでコミュニケーション問題を解消します。
このことで聴覚障害者の店舗での買い物や自治体窓口での各種手続きなど社会生活の拡大に寄与します。

【事業イメージ】

4
助成対象事業名 聴覚障害者向け遠隔手話通訳サービスモデルプロジェクトの役務提供
助成対象事業者 株式会社プラスヴォイス
【事業概要】
本事業は、現在企業や自治体の意思疎通支援事業等で提供している遠隔手話通訳サービスを、聴覚障害者が個人でも利用できるようにするものです。聴覚障害者の所有するスマートフォンから手話オペレーターに接続して、対面している聴者との会話をリアルタイムに通訳する仕組みで、事業者が自社開発したシステムを使用します。遠隔手話通訳は企業や市役所等の自治体施設の窓口で提供されるようになっていますが、個人で利用できる遠隔手話通訳サービスはなく、多くの聴覚障害者から要望が寄せられています。個人で利用する場合の課題等の問題点を回収、分析し、全国の聴覚障害者に提供できるように改善していきます。

【事業イメージ】
5
助成対象事業名 補装具利用者向け補装具管理および管理プッシュ型情報提供システムの開発
助成対象事業者 株式会社ミライロ
【事業概要】
現状、補装具のフォローアップは仕組みとして確立しておらず、限られた機関や個人の努力で行われています。ついては、デジタル障害者手帳「ミライロID」にて補装具のフォローアップができる機能を実装し、補装具管理に係る課題の解消にあたります。

【事業イメージ】
6
助成対象事業名 映画・映像・舞台芸術等に対応したクラウド型情報保障サービスの提供
助成対象事業者 特定非営利活動法人メディア・アクセス・サポートセンター
【事業概要】
本事業は、映画館、DVD・Blu-ray、ネット配信、舞台芸術にPCソフトやスマートフォンアプリを使って視覚障害者用音声ガイドや聴覚障害者用字幕等の配信をインターネット上のサーバーから提供するとともに、更なるソフト開発を行います。
また、個人向け、映画館向けに字幕メガネとしてスマートグラスの貸出しを行い、「メガネで見る字幕ガイド」の普及を図ります。

【事業イメージ】

本件に関する問合せ先

デプロイメント推進部門
情報バリアフリー推進室

丸山 誠二、 武井 康人
Tel: 042-327-6022
Fax: 042-327-5706

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