海遊館での多言語同時通訳技術及び音声マルチスポット再生技術を用いた実証実験に協力

2025年1月15日

国立研究開発法人情報通信研究機構

株式会社海遊館(本社: 大阪府大阪市、代表取締役社長: 濱元 博之)が運営する世界最大級の水族館である「海遊館」(所在地: 大阪府大阪市)において、総務省委託研究開発「多言語翻訳技術の高度化に関する研究開発」※1の一環として、多言語同時通訳した解説音声をリアルタイムで提供し、各言語の解説音声がエリアごとに分かれて聞こえるようにする実証実験(以下、「本実証実験」といいます。)が実施されます。国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)は、本実証実験の実施に当たり、多言語同時通訳技術及び音声マルチスポット再生技術で協力します。

1. 背景

海遊館は、巨大な水槽や自然を体感するエリアを有する世界最大級の水族館として知られています。希望する来館者に対してバックヤードからの給餌の様子等を見学できるツアーも実施しており、多くの外国人来館者も利用しています。(入館料及びツアー参加料要)
これまで、同ツアーでは2人の解説員による日本語又は英語での解説を提供してきましたが、全体の2~3割程度を占める外国人来館者には中国語、韓国語等を母語とする方も多く含まれており、多言語での対応が課題となっていました。

海遊館
図1 海遊館

2. 本実証実験の概要

上記の課題を踏まえ、本実証実験では、NICTが有する多言語同時通訳技術※2を用いて、解説員の日本語の解説をリアルタイムで英語、中国語、韓国語の多言語に同時通訳した合成音声で提供します。
また、本実証実験では、多言語同時通訳技術に音声マルチスポット再生技術※3を組み合わせ、多言語同時通訳された解説音声をNICTが開発したマルチスポット再生スピーカーで再生することで、エリアごとに異なる言語の解説音声が聞こえる音空間を創出し、他の言語の解説音声が混ざり合うことなく、母語の解説音声のみを聞くことができる環境を提供します。
これらの技術を組み合わせたサービスの有用性を実使用環境で検証するとともに、当該サービスを利用した来館者の満足度が向上することを確認します。
【実施日時】
 2025年1月15日(水)~同月24日(金)
【実施場所】
 海遊館(〒552-0022 大阪府大阪市港区海岸通1丁目1-10)

本実証実験の概要
図2 本実証実験の概要

3.本実証実験における役割分担

  • 株式会社海遊館:解説員による音声解説を行う当該見学ツアーの実施
  • NTTデータ カスタマサービス株式会社:本実証実験の計画立案、システム構築及び実施
  • 国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT):多言語同時通訳技術及び音声マルチスポット再生技術での協力
本実証実験は、総務省の「ICT重点技術の研究開発プロジェクト(JPMI00316)」における「多言語翻訳技術の高度化に関する研究開発」の委託を受けて実施するものです。

※1 総務省委託研究開発「多言語翻訳技術の高度化に関する研究開発」については以下のウェブサイトをご覧ください。
・多言語翻訳技術の高度化に関する研究開発 基本計画書
 https://www.soumu.go.jp/main_content/000672524.pdf
・自動『同時通訳』技術の研究開発コンソーシアムを設立
 https://www.nict.go.jp/press/2020/08/28-1.html
※2 NICTの多言語同時通訳技術については、以下の動画をご覧ください。
・AI同時通訳デモンストレーション(英→日中韓)
 https://www.youtube.com/watch?v=NGBmdGqcbyY
※3 NICTの音声マルチスポット再生技術については、以下のウェブサイトをご覧ください。
・NICTとのオープンイノベーションで新ビジネスを NICT × YOU
 https://ast-astrec.nict.go.jp/MultipleSoundSpotSynthesis/

お問い合わせ先

ユニバーサルコミュニケーション研究所
先進的音声翻訳研究開発推進センター
先進的音声技術研究室
担当者: 岡本拓磨