はくりゅう(EarthCARE衛星)搭載雲観測レーダー(CPR)始動

〜CPRの校正・検証作業を開始します〜
2024年6月13日

国立研究開発法人情報通信研究機構

国立研究開発法人情報通信研究機構(理事長: 徳田英幸、以下NICT)が国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(理事長: 山川 宏、以下JAXA)と共同で開発した雲プロファイリングレーダー(Cloud Profiling Radar、以下CPR)が衛星軌道上で始動しました。CPRは欧州宇宙機関(以下ESA)のはくりゅう(EarthCARE衛星)に搭載され、米国ヴァンデンバーグ宇宙軍基地からSpaceX社のロケットFalcon-9で5月29日*に打ち上げられました。5月30日**に主反射鏡が無事展開され、CPRの運用を担当するJAXAによる初期機能確認作業が継続していますが、6月12日に観測モードへの遷移が確認できました。
今後NICTでは、担当するCPRの校正・検証作業を進めていきます。
(日付は日本時間)

*打ち上げについて → EarthCARE衛星の打ち上げ結果について(JAXA) 
**主反射鏡展開について  → EarthCARE衛星の主反射鏡の展開結果について(JAXA)

概要

はくりゅうは、欧州宇宙機関(ESA)の衛星で、雲やエアロゾル(大気中の微粒子)の分布や大気放射を測定する4つの観測装置が搭載されています。
はくりゅうに搭載された観測装置(左)と、観測概念図(右)

高度約400kmを飛行する衛星から直下の雲とエアロゾルの鉛直分布をCPR(雲プロファイリングレーダー)とATLID(大気ライダ)で測定し、雲とエアロゾルの水平分布をMSI(多波長イメージャ)で測定します。衛星は一日で地球約15周まわり、25日で同じ軌道に戻ります。

CPRの概念図と、フライトモデル(電気試験時)

NICTは、日本初の航空機搭載型雲レーダ開発の知見を生かし、JAXAと共同でEarthCARE衛星搭載CPRの開発を行いました。CPRは高感度化を実現、これまで観測できなかった薄い雲が検出できることに加えて、雲の上下の動きを測定する世界初のドップラ計測機能を有しています。

CPRの軌道上での動作が確認されたため、NICTは能動型校正器を使用して、CPRの校正作業を実施します。CPRで取得されるデータは、地上処理後、プロダクトとして利用者に提供されます。NICTはこの地上処理アルゴリズムの開発も実施しています。さらに、CPRのプロダクトの検証を、地上設置雲観測レーダー(HG-SPIDER)などを運用し行います。

関連リンク

本件に関する問い合わせ

国立研究開発法人情報通信研究機構 電磁波研究所 電磁波伝搬研究センター リモートセンシング研究室