国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT、理事長: 徳田 英幸)は、「革新的情報通信技術(Beyond 5G(6G))基金事業」に係る令和6年度新規委託研究の公募(要素技術・シーズ創出型プログラムのうち経過措置課題)について、下記のとおり採択しました。
1. 提案研究開発プロジェクト及び提案者
(1) 高速大容量データ転送を実現する革新的ハードウェア技術の研究開発 (現行の採択番号:00101)
提案者:国立大学法人東京工業大学(代表提案者)、富士通オプティカルコンポーネンツ株式会社、古河電気工業株式会社、古河ネットワークソリューション株式会社
概要:日本の強みであるマルチコアファイバ(MCF)技術を導入し、高速大容量・省電力データ転送を可能にする革新的ハードウェア技術を開発する。具体的には、VCSEL/PDアレイとシングルモードMCFを用いたSDM(空間多重)方式を適用した、伝送速度400/800Gbps、サイズ1cm3以下、消費電力5W以下の超小型光CPO(Co-packaged Optics)トランシーバを開発する。同時に、世界最小ピッチの50Gbaud電気プラガブルインターフェイスを具備したスイッチASIC 搭載CPOドータボードを開発し、小型・大容量電気スイッチ装置の動作実証を行う。
(2) Beyond 5G 超大容量無線通信を支える空間多重光ネットワーク・ノード技術の研究開発 (現行の採択番号:00201)
提案者:国立大学法人香川大学(代表提案者)、株式会社KDDI総合研究所、日本電気株式会社、santec AOC株式会社、古河電気工業株式会社
概要:階層化光ネットワーク・光ノード設計技術、保守性に優れたFIFO(ファンイン・ファンアウト)レス中継システム構築技術、MCF(マルチコアファイバ)のコア毎に伝搬方向が異なる光信号の一括増幅技術、MCFのコア毎に切り替え可能な光空間スイッチ技術、装置内接続用MCF配線・接続技術を開発し、Beyond 5G無線通信を支える、経済性と転送性能に優れた空間多重光ネットワーク基盤技術を確立する。1 Pb/s級リンクに対応可能でビット当たり転送コストを50%以上低減可能な光ノードを用いたモバイルバックホールとメトロ・コアネットワークを構築し、コア単位光ルーティングと転送距離50%以上延伸を実証し、本基盤技術が無線周波数資源の有効利用に資することを示す。
(3) 行動変容と交通インフラの動的制御によるスマートな都市交通基盤技術の研究開発 (現行の採択番号:01101)
提案者:国立大学法人東京大学(代表提案者)
概要:都市交通の利用者、バスやタクシーなどの車両、信号機などの交通インフラがセンサを備えネットワーク化された環境において、リアルタイムにそれぞれを制御し、最適な都市交通を実現する基盤技術を開発する。本技術はスマートシティの交通マネジメントのための基盤技術であり、数秒から数十分という時間軸での交通最適化だけでなく、数日から数ヶ月の範囲の運行計画の最適化や、政策レベルとなる数年単位での地域交通計画や都市計画まで対象として、地域に最適な交通を実現する。提案技術は熊本都市圏を中心に自治体や交通事業者と共同で実証実験を行うとともに、データやアーキテクチャの標準化提案に繋げる。
(4) Beyond 5G通信インフラを高効率に構成するメトロアクセス光技術の研究開発 (現行の採択番号:01401)
提案者:三菱電機株式会社(代表提案者)、株式会社KDDI総合研究所、国立研究開発法人産業技術総合研究所、国立大学法人大阪大学、公立大学法人大阪
概要:Beyond 5G(B5G)の超大容量・超低遅延・超多接続サービスや異なる地理的/量的条件に設置されるRANシステムを柔軟かつ超高効率に収容可能なメトロアクセス光技術を確立する。双方向100Gb/s超の無線信号伝送が可能な次世代光ファイバ無線技術に基づくモバイルフロントホール構成手法および小型光デバイス技術、集約した様々なRANサービスを効率転送可能とする仮想光チャネル技術、それらを支える高度なアナログ・デジタル協調技術、光・電気協調技術を確立する。経済的かつ実用性の高い方式や構成を見出し国際競争力の高い技術として実証することで、ミリ波・テラヘルツ波・赤外光利用が想定されるB5G展開を促進し電波有効利用に資する。
(5) エラーフリーPOFによる革新的通信システムの開発 (現行の採択番号:05001)
提案者:学校法人慶應義塾(代表提案者)
概要:Beyond 5G(B5G)時代において大容量、省電力、低遅延のデータ通信を実現する革新的エラーフリーPOF(プラスチック光ファイバー)伝送システムを開発する。B5G時代では大容量かつ高品質なデータ伝送が当たり前に求められるが、通信の高速化に伴いデータを誤りなく伝送することが困難になる。伝送エラーを補正するためにはFEC(Forward Error Correction)に代表される誤り訂正処理が必要になるが、この信号処理のために通信遅延や消費電力が増加することが問題となる。今回提案するエラーフリーPOF伝送システムは高速通信における誤り訂正処理を不要とするものであり、通信システムの省電力化、低遅延化に大きく貢献できる。
(6) デジタルツインによるサイバー・フィジカル連携型セキュリティ基盤 (現行の採択番号:05201)
提案者:株式会社KDDI総合研究所(代表提案者)、国立大学法人横浜国立大学、学校法人早稲田大学、学校法人芝浦工業大学
概要:サイバー空間とフィジカル空間がBeyond 5G(B5G)により高度に融合した社会におけるセキュリティ確保を目的とし、サイバー空間での観測技術に加え、不正回路検知などのフィジカルデバイス観点での検査・観測技術も高度化するための研究開発を進め、得られた情報を集約してセキュリティ対策を目的としたデジタルツインを生成し、サイバー・フィジカルシステム全体での自律的なセキュリティ確保を実現する技術を研究開発する。B5Gアプリケーションによる実証を通じて技術を確立し、IoTやサイバー・フィジカルシステムを収容するB5Gネットワークスライスへの適用を想定したセキュリティ対策基盤を構築する。
(7) ShonanFutureVerse: 仮想都市未来像にもとづく超解像度バックキャスティング CPS 基盤 (現行の採択番号:05401)
提案者:東日本電信電話株式会社(代表提案者)、学校法人慶應義塾、国立大学法人京都大学、国立大学法人東京大学、株式会社アイ・トランスポート・ラボ、カディンチェ株式会社、株式会社ゼンリンデータコム
概要:都市のサステイナブルかつレジリエントな発展の「未来像」に着目し、多様な人々が仮想空間内に作成/編集/共有する「未来像」を起点としてバックキャスト指向で動作する未来都市情報基盤を構築し、特に環境と防災の面で神奈川県南部湘南地域において広域実証を行う。都市Cyber Physicalシステムのオーケストレーションによって、Beyond 5Gネットワークを有効に活用してCyberとPhysicalを連携させるとともに異種システム間を協調的に動作させ、人の行動変容に資する超解像度情報をリアルタイムかつ適応的に生成、配信、提示する基盤技術を創出する。
*なお、同時期に公募しました一般課題については、後日お知らせします。
2. 公募等の概要
本課題については、令和5年10月6日(金)から同年11月7日(火)まで公募を行いました。
NICTは、学識経験者で構成される評価委員会の評価等を踏まえ、採択しました。
公募の詳細は、以下のWebサイトをご参照ください。
NICTは、学識経験者で構成される評価委員会の評価等を踏まえ、採択しました。
公募の詳細は、以下のWebサイトをご参照ください。