NICTが米国テキサス州ダラスで開催された国際会議「SC22」で実証実験

-400Gbps E2E データ・映像伝送実験で太平洋を横断する6本の100Gbps日米回線を使用
-8K広帯域映像処理技術に日本が開発した400Gbpsエッジデバイスを米国から操作、サービスチェイニング方式を導入-世界初
2022年11月28日


国立研究開発法人情報通信研究機構

NICT総合テストベッド研究開発推進センターは、米国テキサス州ダラスで11月14日から17日まで開催されたSC22*1に出展しました。SCは毎年11月に米国で開催される国際会議・展示会でHigh Performance Computing, Networking and Storage and Analysisをテーマにしています。

展示会ではNICTから4つの実証実験が行われました。そのうち一つにIPAによって実施された400Gbps E2E データ・映像伝送実験があります。400Gbpsのデータ伝送では、アジア太平洋・オセアニア・ネットワーク(APOnet)*2のメンバー、すなわちPacific Wave, TransPAC, UH, ARENA-PAC, SingAREN, NII, JUCC, AARNetとの連携・協力によって、日米間で6本の100Gbps回線を使用しました。(参考:図1)
図1 SC22で実施されたNICT実証実験のためのネットワーク図
図1 SC22で実施されたNICT実証実験のためのネットワーク図
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6本の実験回線は日本国内からSC22会場内のブースまで、太平洋区間、米国内、会場内を経由しました。
 今回のような大容量データ伝送においては、ネットワーク上を定常的に流れているデータトラフィックを処理しつつ実験に必要なネットワーク帯域や品質を提供することが必要であり、同時に高度なオペレーション技術や運用面の強い連携が国際的に求められます。
 これは、JGNおよびJGNと相互協力関係にあるAPOnetメンバーなどの国内外の学術研究ネットワークが密接に連携することで初めて実現しました。

また、SC22では神奈川工科大学による400Gbpsエッジコンピューティングを用いた8K広帯域映像処理技術の実証実験も行われました。DPDK(Data Plane Development Kit) を用いてエッジ部での切り替えを可能とし、さらにサービスチェイニング*3を導入することで、映像切り替えやトランスコーディング、色彩変換といった映像処理が可能となりました。(参考:図2)
図2 サービスチェイニングメソッドのイメージ図
図2 サービスチェイニングメソッドのイメージ図
加えて本実験では、日本で新たに開発された400Gbpsの映像処理能力のあるエッジデバイスがダラスの会場から遠隔操作されており、当該デバイスの遠隔操作によるサービスチェイニング方式の実証は世界初の取組みとなりました。

さらに、今回SC22のSCinetチームによって、APOnetがthe SCinet Spirit of Innovationに選出されました。このニュースは米国で日本時間11月10日にプレスリリースされました。SC22でNICTは、共同実験者とともに日米大陸間でマルチ回線を使って様々な品質のデータ・映像伝送を実証、また、クラウドとエッジコンピューティングの技術を用いて映像処理を行い、その前後で画像を比較してネットワークインフラの測定・監視を行っていくと記載されています。

*1, *2, *3 用語解説

※(SC22)
11月14日から17日まで米国テキサス州ダラスKay Bailey Hutchison Convention Centerにて開催の国際会議・展示会
https://sc22.supercomputing.org
※(APOnet)
北米、東アジア、東南アジア、オセアニアの12の世界をリードする研究および教育ネットワークが連携して、アジア太平洋オセアニア地域の接続性を強化している国際会議
https://www.aponet.global

※(サービスチェイニング)
映像切替えやトランスコーディング、遅延調整など様々な映像処理機能を自在に連携する手法を意味します。

本件に関する問い合わせ先

総合テストベッド研究開発推進センター長 主管エキスパート

児島 史秀 藤井 啓造