2022年7月29日に開催された第14回国立研究開発法人協議会(国研協)総会において、第4代国研協会長に就任しました国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)理事長の久間和生です。どうぞよろしくお願いいたします。
私は、三菱電機の副社長を退任した後、2013年から5年間、内閣府の総合科学技術・イノベーション会議において、新たな国家プロジェクトであるSIP(戦略的イノベーション創造プログラム)、ImPACT(革新的研究開発推進プログラム)の創設と推進、および第5期科学技術基本計画策定において「
Society 5.0」※の概念の創出に携わりました。2018年からは、農研機構理事長として、農業・食品産業における科学技術イノベーションの創出に向けた研究開発を推進しています。
さて、ここ数年で、地球温暖化による異常気象、新型コロナウイルスのパンデミック、ロシアのウクライナ侵攻などの地政学リスク、また、これらに伴うエネルギーや食料をはじめとする経済安全保障などの社会課題が次々と発生しています。
このような状況にあって、国立研究開発法人が担うべき重要な役割は、科学技術・イノベーション基本計画が掲げる社会Society 5.0を研究開発によって具体化することと考えます。国立研究開発法人は、これまでに培った知見や技術を社会に実装するとともに、新たなイノベーションの創出によって、直面するこれらの課題の解決に貢献し、世界の変革をリードしていくことが求められています。また、そのためには、我が国の基盤技術をこれまで以上に強化することも重要です。
国研協は、研究開発成果の最大化を目指して、国立研究開発法人が一堂に会し、諸課題を議論する場として2016年に発足しました。国研協には、我が国の、情報通信、量⼦技術、マテリアル、宇宙、海洋、環境、エネルギー、健康・医療、バイオテクノロジー、⾷料・農林⽔産業、建築、土木など様々な分野の27法人が参加しています。
いまこそ、国立研究開発法人が、Society5.0の具体化に向けた科学技術イノベーションの創出を目指して、組織や分野の枠を超えた連携、産業界・大学等との連携、出口に向かって基礎から実用化まで繋ぐ連携のハブとなり、我が国全体の研究開発成果の最大化を牽引するフラッグシップとしての役割を果たすときと思います。
今後、総括副会長、副会長とともに、国立研究開発法人のあるべき姿を再検証し、経済発展と社会課題解決の両立に向けて国研協の活動を推進していきたいと思いますので、関係各位のより一層のご理解とご支援をお願い申し上げます。
※Society5.0とは、サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムにより新たな価値を創造し、経済発展と社会的課題の解決を両立する、人間中心の社会。
2022年9月
国立研究開発法人協議会 会長
(国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構 理事長)
久間 和生