製造現場では、生産性向上のために無線通信を利用した製造システムの導入が年々進んでおり、今後も更に増加するものと予想されます。一方、製造システムの通信には高い安定性が求められるため、ときどき接続が切れることがある・受信データが大きく遅延することがある、などの無線通信の不安定性の課題を解決する必要があります。国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)は複数の無線システムが混在する環境下で安定した無線通信を実現することができるSRF無線プラットフォームの提案を行い、フレキシブルファクトリパートナーアライアンス(FFPA)においてSRF無線プラットフォームをシステムの基本構成として採用した通信規格の策定が進められています。
無線通信を利用したユースケースのひとつとして、無人搬送車等の移動体上で撮影した動画をリアルタイムで監視するなどの動画の利活用の要望が高まっています。しかしながら、無人搬送車では、床面での反射波の影響による通信品質の低下や移動に伴うハンドオーバー時のデータ通信の停止などの要因によって安定な動画の無線通信ができないケースがあり、移動体上で撮影した動画の活用に制約が生じています。製造現場での動画活用を促進させるため、NICTは村田機械株式会社の協力を得て、村田機械株式会社本社(京都)内の開発品試作工場において、これらの課題を解決し安定な動画無線通信を実現することが期待できるSRF無線プラットフォームの共同実験を実施しました。