現代社会では、大容量データをやりとりするスマートフォンなどの携帯端末が急速に普及し、いつでも・どこでも通信可能なブロードバンド接続が必要となっています。こういった大容量データをやりとりするための高速データ伝送には、「光ファイバ通信」が適しています。しかし、持ち運びなどの利便性を重視する場合には、「無線通信」の技術が不可欠です。「光通信」は毎秒10ギガビット程度の伝送速度が一般的ですが、これに対して、「無線通信」は利用可能な電波帯域が限られているため、最新の無線LAN(IEEE 802.11n)でも、毎秒0.3ギガビット程度の伝送速度にとどまっています。
ユーザが、無線通信であることを意識せずに、データ通信を利用するためには、無線通信の高速化を図り、光通信との速度差を縮める必要があります。この実現のため、携帯電話や無線LANなどで混雑する「マイクロ波帯」(補足資料-図1)を避け、新たな周波数帯域での高速無線伝送技術の開発が必要とされており、より高い周波数帯での広帯域かつ高精度の信号発生・検出が技術課題となっていました。