佐々木主管研究員は、平成8年4月に郵政省通信総合研究所(当時)に入所後、量子情報通信の研究開発に従事してきました。
量子情報通信は、量子物理学に基づいて、絶対安全な量子暗号や従来の容量限界を打破する量子通信を実現する革新的な技術です。佐々木主管研究員は、小規模の量子計算機を光受信回路に組み込むことで、従来理論の「シャノン限界」を打破する量子通信が可能となることを2003年に実証し、量子通信の研究開発に新たな局面を切り拓きました。その後も、光の量子制御に関する新技術を次々に実証するとともに、産学官連携プロジェクトを主導し、量子鍵配送(QKD)装置の性能を大幅に改善し、2010年に量子暗号ネットワーク(Tokyo QKD Network)を構築して完全秘匿動画伝送を世界で初めて実現するなど、量子情報通信の基礎・応用の両面において顕著な成果を挙げました。さらに、企業と連携してスマートフォンやドローンなどの移動体通信を完全秘匿化するアプリケーションを開発し、地方創生特区において実証試験を行うなど技術の普及活動にも積極的に取り組んでいます。