量子情報理論が予言する新しい情報技術のパラダイムを具現化して行くのは決して生易しい問題ではありません。今後、何十年にもわたって新しい物理原理の開拓や要素技術の開発を進めて行く必要があります。我々の研究室では、量子情報理論の基本原理を、まず現有技術を最大限に活かすこと実証して行くという研究を進めています。
主担当者: 佐々木雅英、武岡正裕
現在の情報技術は、0と1という2つの数字による抽象化の上に成り立っています。実際、パソコンやインターネットの中を駆け巡っている情報の実体は、0と1を運ぶ電気や光の膨大なパルス列です。音声や画像を0と1という抽象的記号で表現することで、効率的なデータの圧縮や雑音下での信頼性の確保が可能になります。いわゆる符号化といわれる操作ですが、それは大きく分けると、データを{0,1}のビット列で圧縮して表現するための情報源符号化(Source coding)と、そのビット列をできるだけ小さい誤りで伝送するための通信路符号化(Channel coding)の2つに大別されます。この2つの操作を基本要素として情報伝送の基本模型は下図のようなダイヤグラムで整理されます。