NICTと早稲田大学は、光通信において
波長多重伝送をはじめ将来のマルチコアファイバ等の多チャネル光信号の一括受信を可能とする集積型受光素子(右図)を開発しました。本開発の要素技術は以下のとおりです。
・光信号を電気信号へ変換する高速受光素子技術 (右図中央赤い四角)
・半導体を作製するための高密度集積技術
・性能評価技術
本開発では、早稲田大学はクロストーク制御技術を用いて集積化の設計を行い、NICTは高速受光素子技術、高密度集積技術により本素子を作製し、受信性能の評価を行いました。なお、高速受光素子技術の一部は、総務省電波資源拡大のための研究開発の一環として実施されたものです。
本素子は、複数の光信号を一括受信して電気信号に変換するため、光受信器数を大幅に削減し、省スペース化を行い、さらに、各光受信器が搭載する消費電力の大きい信号処理回路を1つに集約することで省電力化を可能とします(
補足資料 図2)。今回、本素子をマルチコアファイバ、マルチモードファイバと直結して光信号の受信に成功したことにより、将来の光ファイバ用超小型受信器の実現性を確認しました (
補足資料 図3)。
また、本素子は2次元面上に到来する
赤外光の強さと位相差を計測でき、イメージセンサやレーザ測距等への応用も期待されます。本素子は、
CCDイメージセンサと比較して約1,000倍~10,000倍高速な10GHz以上で並列動作し、集積数を高めても動作速度への影響は小さく、フレームレートの高いイメージング等に有効と考えられます。