これに対して、コントロールグループの実験参加者には、ニューロフィードバックグループの実験参加者と同様に、脳波計を装着させ、イヤホンを通して英単語を聞かせましたが、目の前に設置されたディスプレイに提示される緑の円の大きさは自分のMMNの大きさではなく、代わりにニューロフィードバックグループの実験参加者のMMNのデータを用いて緑の円の大きさを変化させました。つまり、コントロールグループの実験参加者に与えられるフィードバックは自分のMMNの情報ではないため、自分のMMNを大きくするように努力しても大きくすることができません。なお、実験参加者は、自分がニューロフィードバックグループに所属しているか又はコントロールグループに所属しているかについては知らされていませんでした。
ニューロフィードバックグループ及びコントロールグループの実験参加者は、共に一日当たり1時間程度のトレーニングを行い、それぞれ合計5日間のトレーニングを行いました。その結果、ニューロフィードバックグループの認知テスト(聞いた音がrightかlightかを答える)の結果は日々向上したのに対して、コントロールグループの結果は向上しませんでした(図2参照)。
コントロールグループの実験参加者もニューロフィードバックグループの実験参加者と同様に音を聞いているにもかかわらず、ニューロフィードバックグループの実験参加者のテスト結果のみが向上したということは、単に音を聞いているだけではなく、MMNを大きくするというニューロフィードバックが英単語の聞き分け能力を向上させるために重要であることを意味しています。