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人工知能を用いた災害情報分析の訓練ガイドラインの策定を目指して

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2017年6月5日

国立研究開発法人情報通信研究機構
慶應義塾大学SFC研究所
国立研究開発法人防災科学技術研究所

ポイント

●慶應義塾大学環境情報学部山口真吾研究室、NICT及び国立研究開発法人防災科学技術研究所(NIED)は、防災・減災分野への先端的な人工知能技術の導入・普及を目指して共同研究会議を設立しました。
●共同研究会議は、災害時に自治体等が人工知能技術を活用して行う情報分析について、平時の防災訓練を効果的に実施するためのガイドラインの策定・公表を目指します。
●本テーマに関連する公開シンポジウムを8月4日(金)に開催します。
●なお、防災・減災への人工知能技術(自然言語処理等)の導入に関する訓練ガイドラインは、災害先進国として不可欠なものであり、世界的にも初めての取組になります。

1.背景と意義

防災・減災分野では近年、自治体がソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)を災害時の情報発信に活用する事例が増加しており、現在、約54%の自治体が災害対応のためにSNSを活用しています(※1)。また、自治体の中にはこうした情報発信に加え災害時の「情報収集手段」としてもSNSを活用している地域があり、その数は増加傾向にあります。
また近年、人工知能(AI)に関する技術革新は、Internet of Things(IoT)、ビッグデータ、ロボティクス等の最新技術と相まって、社会経済活動における知識や価値の創造プロセスを大きく変貌させつつあります。中でも自然言語処理技術は、人間が理解する言語をコンピュータに処理させることにより、災害時や緊急時に情報が錯綜した場合であっても、情報の整理・検索・分析等を人間の限界を超えて可能にする仕組みであり、重要な人工知能技術として注目されつつあります。
このようなことを背景に、政府では「災害対応におけるSNS活用ガイドブック」(※2)を本年3月に公表するとともに、4月には国の中央防災会議が防災基本計画を改定することで人工知能等の最新技術の利用努力義務が初めて規定されるなど、防災・減災分野への最新の情報通信技術の積極的導入が国の重要政策として位置付けられつつあります(※3)。
一方、国や自治体、指定公共機関(※4)、関係機関等が災害対策に人工知能技術を利用しようとする場合、情報収集・分析のための情報システムを導入するほか、防災訓練に特別なシナリオを組み入れることで日頃からその取り扱いに習熟しておくことが必要になります。しかしながら、防災・減災分野への人工知能導入は未だ先端的な取組であり、適切な指針やガイドラインも未整備であることから、防災訓練の実現は自治体等において手探りの状態となっています
また、最先端の人工知能技術に対しては、単に自然災害対策だけでなく、大規模事故や雑踏対策、大規模感染症(パンデミック)対策、防犯・セキュリティ等、国及び国民の安全・安心の確保に幅広く貢献することも期待されています。
このため、防災・減災等への先端的な人工知能技術(自然言語処理等)の導入を目指した共同研究会議を設立し、人工知能技術を用いる防災訓練等の準備・実施に関するガイドライン策定等に向けた研究を推進することにより、防災・減災分野でのイノベーション創出に貢献します
 
※1 平成28年時点。内閣官房情報通信技術(IT)総合戦略室の調査
※2 内閣官房 情報通信技術(IT)総合戦略室防災・減災班 http://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/sns_guidebook.html
※3 第37回中央防災会議(平成29年4月11日)における防災基本計画の改定(「国及び地方公共団体は,被害情報及び関係機関が実施する応急対策の活動情報等を迅速かつ正確に分析・整理・要約・検索するため,最新の情報通信関連技術の導入に努めるものとする。」)
http://www.bousai.go.jp/kaigirep/chuobou/37/index.html
※4 災害対策基本法に基づき、内閣総理大臣が指定する日本赤十字社、日本放送協会その他の公共的機関及び電気、ガス、輸送、通信その他の公益的事業を営む法人
http://www.bousai.go.jp/taisaku/soshiki/s_koukyou.html

2.共同研究会議の検討事項(予定)

●人工知能技術(自然言語処理等)を用いた災害情報分析の訓練ガイドライン
●防災訓練で使用するオープンソースとしての標準データセット(自然言語)のあり方
●自治体等に対する訓練支援サービスの振興方策 等

3.今後の予定

2017年8月4日(金)     公開シンポジウム【別紙参照】
2017年9月~2018年1月頃  共同研究会議の開催(数回)
※共同研究会議への参加方法は公開シンポジウムでアナウンスします。
2018年2月頃(予定)
防災訓練ガイドラインの策定・公表

別紙

人工知能を用いた災害情報分析と訓練に関する公開シンポジウム
~防災・減災分野への最新技術の導入・普及を目指して~
 
【開催日時】2017年8月4日(金)13:00~16:00
 
【会場】慶應義塾大学 湘南藤沢キャンパス内(予定)
〒252-0882 神奈川県藤沢市遠藤5322
アクセスマップ http://www.sfc.keio.ac.jp/maps.html
 
【プログラム(予定)】
12:30 開場
13:00~14:20 開会・講演
(1)山口真吾(慶應義塾大学環境情報学部)
(2)鳥澤健太郎・大竹清敬(国立研究開発法人情報通信研究機構)
(3)臼田裕一郎・花島誠人(国立研究開発法人防災科学技術研究所) 等
14:20~14:30 休憩
14:30~15:15 パネルセッション
15:15~16:00 客席を交えた質疑応答とディスカッション
16:00 閉会、名刺交換
 
【参加方法】
●参加を希望される場合はこのリンク(Google form)からお申し込みください。
●上記Google formにアクセスできない場合は、山口真吾研究室までご連絡ください。
会社名・氏名・参加人数をお知らせください。
●申込期限:7月31日(月)
●定員に達した場合には締め切りとさせていただきます。
 
【参加費】無料
 
【主催】
慶應義塾大学SFC研究所
国立研究開発法人情報通信研究機構(予定)
国立研究開発法人防災科学技術研究所
 

本件及び共同研究会議に関する問い合わせ先

慶應義塾大学環境情報学部 

山口真吾研究室
E-mail:

NICTに関すること

国立研究開発法人情報通信研究機構
耐災害ICT研究センター

応用領域研究室 大竹清敬
Tel: 0774-98-6329
E-mail:

NIEDに関すること

国立研究開発法人防災科学技術研究所 総合防災情報センター

Tel: 029-863-7553 
E-mail: