国立研究開発法人情報通信研究機構
2015年10月19日
NICTサイバーセキュリティ研究室は、「攻殻機動隊 REALIZE PROJECT × SECCON CTF for GIRLS」専用可視化エンジンAMATERAS零(アマテラス・ゼロ)を開発しました。本技術は、サイバー模擬攻防戦CTF(Capture The Flag)をリアルタイムに視覚化するものであり、2015年11月7日(土)に開催される女性限定のCTF大会で実稼働いたします。セキュリティ技術の向上やサイバー攻撃の対処能力の強化を目的としたCTFを、攻殻機動隊という世界的に著名なSF作品をモチーフに視覚化することで、サイバーセキュリティへの関心を一層高め、さらに、セキュリティ人材の発掘・育成に貢献することが期待できます。
背景
セキュリティの人材不足が社会的課題となっていますが、セキュリティ技術の向上やサイバー攻撃の対処能力の強化を目的としたサイバー模擬攻防戦CTFを通して、セキュリティ人材の発掘・育成が進められています。NICTはこれまで、日本における最大規模のCTF大会であるSECCON CTF向けに可視化エンジン(NIRVANA改 SECCONカスタム)を開発し、セキュリティ人材の発掘・育成に貢献してきました。
今回の成果
今回SECCONは、SF作品「攻殻機動隊」で描かれているテクノロジや世界観を現実化するために始動した「攻殻機動隊 REALIZE PROJECT」と共同で、国内初、女性限定のCTF大会「攻殻機動隊 REALIZE PROJECT × SECCON CTF for GIRLS」(以下、攻殻CTF)を開催することとなり、NICTは、その攻防戦をリアルタイムに視覚化するために、攻殻CTF専用の可視化エンジン「AMATERAS零」を開発しました。
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図1 AMATERAS零(全体図)
中央オレンジ色の球体がCTFの問題サーバを、周囲の青いリングがCTFのプレイヤーを表しています。
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図2 プレイヤーリング
プレイヤーリングは、各CTFプレイヤーの得点や正答状況を表しています。図2の例では、プレイヤー28が1問(リング内周右上で明転している「forensics01」の問題)を正答して101点を獲得しており、さらに、そのプレイヤーが別の問題を回答しようとしていることが黄色のオブジェクト(リング内周左下)で示されています。
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図3 問題リング
問題サーバの表面には問題リングが配置されており、プレイヤーから送られてくる回答の正否をリアルタイムに視覚化します。図3の例では、「web03」の問題に回答が送られてきており、正否を判定中です。
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図4 枝
問題に正答すると、プレイヤーリングと問題リングとの間に「枝」がつきます。また、特定のプレイヤーリングを選択すると、枝がハイライトされます。図4の例では、プレイヤー30が3問正答していることがわかります。
今後の展望
NICTは、今後もSECCON及び攻殻機動隊 REALIZE PROJECTとの連携を進め、セキュリティ人材育成への貢献に努めるとともに、日本発のサイバーセキュリティ技術を世界に向けて発信していきます。
なお、「AMATERAS零」は、2015年11月7日(土)に神戸サンボーホールで開催される攻殻CTFに導入され、CTFの攻防戦をリアルタイムに視覚化します。当日は見学も受け付けておりますので、競技に参加されない方もお気軽にご来場ください。
攻殻CTFの詳細につきましては、下記のSECCONのWebサイトをご参照ください。
用語解説
SECCON CTF 決勝大会向けにNICTが開発したCTFリアルタイム可視化エンジン。最新版はSECCON CTF 2014決勝戦(2015年2月)に導入されたNIRVANA改 SECCONカスタムMk-II。
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図5 NIRVANA改 SECCONカスタム Mk-II
2029年の日本を舞台とした世界的に著名なサイバーパンクの金字塔。作品世界に登場する電脳、義体、光学迷彩、攻性防壁などの未来のテクノロジは、その後のSF作品に多大な影響を与えるとともに、現実社会においても具現化が進んでいる。
日本を代表する企業、大学の研究開発者、公共機関、そして製作委員会が一体となって「攻殻機動隊」の世界をリアルに実現する可能性を追求するプロジェクト。詳細は下記Webサイトを参照のこと。
「Advanced Multi-Actor Tactical Exercise Real-time Analysis System: Prototype Version 0」の略。
攻殻CTF用に開発された可視化エンジンの名称。
攻殻CTF用に開発された可視化エンジンの名称。
本件に関する問い合わせ先
ネットワークセキュリティ研究所
サイバーセキュリティ研究室
サイバーセキュリティ研究室
井上 大介、鈴木 宏栄
Tel: 042-327-6225
E-mail:
広報
広報部 報道担当
廣田 幸子
Tel: 042-327-6923
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