NICTと富士ロジテックは、平成27年3月から7月までの間、操業中の物流倉庫のピッキングカートの全稼働時間、全台数を対象にした動線取得実証実験を実施しました。
富士ロジテックは、効率向上のため、ピッキング担当エリアを区切ったり、商品配置を見直したりする対策を施しました。対策実施前と実施後の動線及びカートデータを解析した結果、
商品ピッキング歩行時間が平均で50%削減することを解明し、対策の有効性が確認できました。さらに、ピッキングカートの全稼働時間全台数の動線データを解析することによって、ピッキング通路の混雑等の状況を見いだし、
商品棚の最適な配置に寄与することができました。さらに、商品1個当たりのピッキング時間も従来の平均8.5秒から6.5秒へと2秒短縮しました。
今回の実証実験を通して、UWB測位によるピッキング作業の全稼働時間全台数の動線取得とカートシステムのデータを合わせて用いることによって、商品最適配置等の施策ができ、物流倉庫でのピッキング作業効率を大幅に向上させることが明らかになりました。ピッキング歩行時間を減らすことによって、倉庫での全体作業時間の短縮と作業コストの削減、さらには省エネに大きく寄与します。
図1に1台のピッキングカートの動線測定例を示します。ピッキングカートがピッキング作業中に移動しているか、又は止まっているかが可視化でき、移動時間とピッキング時間を分けて集計することが可能です。このことは、移動時間を減らすための商品配置の検討に有用です。