独立行政法人情報通信研究機構(以下「NICT」、理事長:坂内正夫)と米国国立科学財団(以下「NSF」、所長代行:Cora B. Marrett)は、米国時間2013年5月29日(水)、NSF本部(バージニア州アーリントン)にて、新世代ネットワーク研究における日米共同研究に向けて連携することに合意し、包括的協力覚書(MOU)の締結をいたしました。
現在、世界経済の発展や人々の生活の質の向上にとって、インターネットは重要な役割を果たしています。そして、今後更に増え続けるであろう利用者への対応や、より安全で・より使いやすいネットワークを実現するため、その基盤である「ネットワークアーキテクチャの研究開発」の必要性が強く意識されています。こうした認識の下、2012年3月23日、日米両政府は“インターネットエコノミー日米政策協力対話(第3回局長級会合)”において、「新世代ネットワーク(NWGN)/将来インターネットの研究開発」分野で協力することを確認しました。これを受けて行われた日米の研究者による議論の結果、新世代ネットワークにおける日米共同研究は、次の3つの分野で行うことが望ましいとの共通認識に至りました。
このため、NICTとNSFは、それぞれの国の研究者に対して、この3分野における共同研究を支援するために連携することを合意し、包括的協力覚書(MOU)に署名しました。
補足資料
NICTとNSFのコンピュータ情報科学工学局(CISE: Directorate for Computer and Information Science and Engineering)に属するコンピュータネットワーク部(CNS: Division of Computer Network Systems)は、今回のMOU締結以前にも、主に将来ネットワーク/新世代ネットワークの研究分野において連携を行ってきました。
- ・2007年:
- NSFが主導しているGENI (Global Environment for Networking Innovation) が開催した会議にNICTが参加したことから、両者が連携を開始。
- ・2008年:
- 第1回日米将来ネットワーク ワークショップをカリフォルニア州パロアルト市で共同開催。
- ・2009年:
- 第2回日米将来ネットワーク ワークショップをハワイ州ホノルル市で共同開催。
- ・2010年:
- NICT・NSFが共同で将来インターネットの設計に向けた研究提案に資金を提供し、日米の研究者を支援。
- ・2012年:
- 第3回将来ネットワーク ワークショップを東京都中央区で共同開催。
今回の合意を受けて、NICT とNSFは、新世代ネットワーク研究における共同研究の公募要領(プログラムの概要、採択プロセス等)を近く公表し、日本と米国の研究者による「ネットワーク技術と新世代ネットワーク/将来インターネットのためのシステムの研究開発」を目指した共同研究計画の提案を呼びかけていく予定です。
用語 解説
NSFは、米国における科学技術を振興するための政府機関であり、大学における基礎研究などに資金を提供する事業を行っている。NSFには分野別の7つの局が設置されており、今回のNICTとの新世代ネットワーク研究分野における共同研究公募は、コンピュータ情報科学工学局に属するコンピュータネットワーク部が担当する。
インターネットの経済的な価値に着目して、日米政府間で幅広い政策課題において意見交換を行うために2010年から開催されている会合。これまでに4回実施されているが、そのうち2012年3月22日と23日に開催された第3回局長級会合において、「新世代ネットワーク(NWGN)/将来インターネットの研究開発」分野で日米が協力することが確認された。
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