今回開発した“メッシュ接続対応コグニティブ無線ルータ”(図1、以下「コグニティブ無線ルータ」)は、3つの無線接続機能(インターネット接続、相互接続、無線LAN接続)を持ち(図2)、最適なインターネット接続を広域に提供することを可能にします。全ての接続は自動的に行われますので、電源を入れる以外に操作は必要ありません。
インターネット接続では、内蔵するLTE及びWiMAXのうち、通信速度や安定性の観点からコグニティブ無線機能により最適なシステムを自動選択します。各コグニティブ無線ルータのトラフィック量、使用されているインターネット回線等は遠隔のクラウドサーバから監視でき、手動あるいは自動化したアルゴリズムにより無線ルータの制御が可能です。
また、相互接続では、複数の無線ルータが通信エリア内で動作中の場合、メッシュネットワーク技術により相互に接続して通信経路を設定し、広域な無線通信のバックボーンを自動構成します(図3)。これにより、複数のコグニティブ無線ルータのうち、いずれかのコグニティブ無線ルータがインターネットに接続していれば、すべての無線ルータがインターネットにアクセスすることが可能になります。メッシュ接続の構成にはメッシュネットワークプロトコルの1つであるOLSRを使用する一方で、メッシュ接続の状態は独自に開発したメッシュマネージャにより管理しており、OLSRの制御パラメータをメッシュマネージャが動的に変更することにより、利用負荷や電波干渉等による無線通信品質にも適応したメッシュ接続を可能にしています。
各コグニティブ無線ルータは、それぞれ無線LANのアクセスポイントとして無線LAN接続を端末に提供します。IEEE 802.11a/b/g/nに対応しており、市販の端末をそのまま接続することが可能です。