昨今、宅内やビル内の機器の運用状態や消費電力等を管理・制御し、人にも自然にも優しい環境作りを実現する「スマートハウス」、「スマートビル」に関する研究開発、実用化が進められています。スマートハウスやスマートビルにおいては、電気事業者やガス事業者が提供するスマートメーターや各種家電機器がHEMS(家庭用エネルギー管理システム)、BEMS(ビル用エネルギー管理システム)に無線等により接続され、検針やエネルギーの管理・制御が行われることが想定されています。
このHEMS/BEMSアプリケーション用国際標準通信規格として、エコーネットコンソーシアムが策定したECHONET Lite規格があります。この規格は、電気事業者が次世代スマートメーター用アプリケーション通信標準規格として採用していますが、主にアプリケーション層に関する通信規格であり、トランスポート層・ネットワーク層・データリンク層・物理層といった、いわゆる下位層と呼ばれる部分の規定がされていなかったので、NICTでは、この下位層の規格を米国電気電子学会IEEE802.15.4g/4eをベースに国内外30社と共にWi-SUNアライアンスを通じて策定してきました。このWi-SUN規格は、一般社団法人 情報通信技術委員会(TTC)で制定したECHONET Lite向けホームネットワーク通信インタフェース規格である標準規格JJ-300.10に標準方式として採択され、電気事業者が公開したスマートメーター用推奨通信仕様としても採用されています。しかし、この標準規格に準拠し、かつ エコーネットコンソーシアムが規定した規格適合性認証審査に合格した無線機の開発例は、これまでありませんでした。