NICTは、太陽活動や宇宙環境変動の観測を行い、現況とその推移に関する情報提供を行っています。
2013年5月16日
独立行政法人 情報通信研究機構(以下「NICT」、理事長:坂内正夫)は、日本時間2013年5月13日(月)から5月15日(水)までの2日間に合計4回の大型(Xクラス)太陽フレア現象の発生を確認しました。この現象の最大X線強度は、通常の100倍以上に及ぶ大型のものです。また、この現象に伴い、ほぼ同時刻にデリンジャー現象の発生が観測されました。
現在、この現象を引き起こした非常に活発な黒点群は、太陽面東端にあり、今後1週間ほどで地球の正面方向を向き、その後、ほぼ1週間で太陽面西端に移動するものと予想されます。この間に、今回と同規模のXクラスの太陽フレアが発生した場合、地球周辺の宇宙環境や電離圏、地磁気が乱れる可能性があり、通信衛星・放送衛星などの人工衛星の障害やGPSを用いた高精度測位の誤差の増大、短波通信障害や急激な地磁気変動に伴う送電線への影響などが生じる恐れがあり、注意が必要です。
背景
今回観測した現象
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①今回と同規模のXクラスの太陽フレアは、昨年1年間で7回起きましたが、それに対し、今回は2日間で4回もの太陽フレアが発生しました。この現象は、2008年1月頃に始まった第24太陽活動サイクルでは初めてのことです。
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②今回確認されたフレア現象に伴い、ほぼ同時刻に、稚内、東京、沖縄上空の電離圏において、漁業無線や航空無線などの短波通信の障害となる“デリンジャー現象”が発生したことがNICTによって観測されました。
なお、今回のフレア現象により噴出された高温のガスは、地球方向から外れており、今後の影響はないと考えております。
なお、今回のフレア現象により噴出された高温のガスは、地球方向から外れており、今後の影響はないと考えております。
今後の推移
今回の現象は、現在、太陽面東端にある黒点群1748で発生しているもので、今後この領域は地球に対面する方向に移動します。黒点が地球に対面した形でフレア現象が生じると、高温のガスが地球に向けて放出されるため、影響が大きくなります。今回発生した太陽フレアと同規模の現象が、今後2週間以内に再度発生した場合には、人工衛星の障害や高精度測位の誤差の増大、短波通信障害や送電線への影響が発生する可能性があり、注意が必要です。
補足説明
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図1 人工衛星SDO(NASA)で観測された太陽画像
(左:可視光、右:紫外線)
(左:可視光、右:紫外線)
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図2 人工衛星GOES(NOAA)によって観測されたX線
用語 解説
本件に関する 問い合わせ先
電磁波計測研究所
宇宙環境インフォマティクス研究室
宇宙環境インフォマティクス研究室
石井 守
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