NICTユニバーサルコミュニケーション研究所では、多感覚(視覚、聴覚、触覚、嗅覚)の情報をリアルにかつ自然に伝える超臨場感コミュニケーションを実現するために、立体映像、感触、音響とともに“香り”を統合して、多感覚の情報を違和感なく自然に体験できる多感覚インタラクション技術の開発を進めてきました。
独立行政法人 情報通信研究機構(以下「NICT」、理事長: 宮原 秀夫)は、これまで多感覚情報に基づく超臨場感コミュニケーションを実現するために、香りの噴射装置を開発してきました。今回、さらに、6種類の香りを瞬時に組み合わせて提示できるコンパクトな「香り噴射装置」の開発に成功しました。本装置をPCに接続し、今回開発した「香りと映像の同期・編集ソフト」を起動すると、“映像”に好みの“香り”を付与することができます。また、香源カートリッジを取り換えることで、多種多様で臨場感豊かな香りの表現が可能です。
NICTが2009年に発表した香り噴射装置「マイクロ・アロマ・シューター(Micro-Aroma-Shooter)」では提示できる香りは1種類でした。今回は、6種類の香りを瞬時に組み合わせて提示できるコンパクトな香り噴射装置「マルチ・アロマ・シューター(Multi-Aroma-Shooter)」の開発に成功しました。
この装置には、以下の特長があります。
- 香りの瞬時切替え
香りを瞬時に切り替えて、小さな穴からユーザの鼻をめがけて、香りを噴射し、香りを出すタイミングと時間を操作することができます。 - 6種類の香りの組合せ提示
6種類の香りから、幾つかの香りを選択して、同時に提示することができます。複数の香りを組み合わせることにより、豊かな香りの表現が可能です。 - コンパクト設計
六角柱の小型形状で、かつ、USB接続のみで駆動できることから、テーブルの上にもコンパクトに設置できます。 - 映像との同期提示
「香りと映像の同期・編集ソフト」により、動画コンテンツに合わせて、好みの香りを簡単に付与することができます。 - 香りの種類を簡単交換
6個の香源カートリッジを取り換えることで、多種多様な香りを臨場感豊かに演出できます。
今後、NICTは、本装置を更に改良し、NICT発のベンチャー会社「株式会社アロマジョイン」にて1年以内の商品化を目指しています。“香り”のデジタルサイネージ(食品・化粧品等のサンプル提示・広告・集客)、アロマと映像によるリラクゼーション、五感デジタルミュージアム、香りの出る4D映画・テレビ、香り体感エンタテインメント等への応用が期待されます。
なお、本装置は、11月8日(木)~10日(土)に京都で開催される「けいはんな情報通信フェア2012」にて展示します。個別に取材を希望される方は、広報部までご連絡ください。
補足資料
マルチ・アロマ・シューターは、最大径60mm、長さ60mmの六角柱の形状をしており、噴射孔(1mmØ)から6種類の香りを組み合わせて提示できます。香りの切替えは瞬時(最短100ミリ秒)に行えます。本体の中に、6種類の香源カートリッジを入れることができ、これらの香りを組み合わせたり、カートリッジを取り換えることで、多種多様な香りを臨場感豊かに演出できます。
マルチ・アロマ・シューターとPCをUSB接続し、「香りと映像の同期・編集ソフト」を立ち上げ、香りを示すアイコンを選んで下部の時間ラインにドラッグ・ドロップするだけで、動画コンテンツの任意の時刻に任意の時間だけ香りを組み合わせて簡単に付与することができます。
従来のマイクロ・アロマ・シューターは、単一の香りしか提示できず、香源を取り換えるのも困難でした。また、別途、AC電源ケーブルや制御コントローラを設置する必要があり、映像との同期には複雑なプログラミングが必要でした。
四つの感覚を統合した多感覚インタラクションシステムの開発に成功 ~ 3D映像、音、感触とともに“香り”もインタラクティブに体験 ~
本件に関する 問い合わせ先
多感覚・評価研究室
安藤 広志、キム ドンウク、西野 由利恵
Tel: 0774-95-2641
Fax: 0774-95-2647
E-mail:
広報 問い合わせ先
廣田 幸子
Tel: 042-327-6923
Fax: 042-327-7587
E-mail: