2012年11月5日
独立行政法人情報通信研究機構(以下「NICT」、理事長: 宮原 秀夫)と一般財団法人日本特許情報機構(以下「Japio」、理事長: 越智 謙二)は、“中国語の特許文”を日本語に自動的に翻訳する技術に関する共同研究の成果である新技術に基づき、従来技術を大幅に超える翻訳精度の「自動翻訳ソフトウェア」を開発しました。このたび、東京開催の「特許・情報フェア&コンファレンス」と京都開催の「けいはんな情報通信フェア」において、この中日自動翻訳ソフトウェアのデモンストレーションを公開します。
背景
近年、中国の特許等の出願の急増により、侵害・訴訟事案が増加しています。中国特許の侵害・訴訟リスクを回避するため、中国市場に進出する日本企業にとっては、中国語の特許文献の検索や内容把握が不可欠であり、日本語への翻訳ニーズが非常に高まっています。しかしながら、人手による翻訳は費用と時間が莫大にかかるため、中国語から日本語への自動翻訳技術の実現が大きな課題の一つとなっています。特に、特許の文章は1文が非常に長く、また、中国語と日本語は文法が全く異なることから、従来の中日(中国語から日本語への)自動翻訳技術は翻訳精度が低い状況でした。
この背景の下、JapioとNICTは、①Japio の特許データの優れた処理技術・ノウハウ と ②NICTの最先端の自動翻訳技術を活用した、特許文の中日自動翻訳技術の高精度化を目指した共同研究を推進してきました。
今回の成果
このたび、JapioとNICTは、共同研究成果で得た新技術に基づいて、特許文の高精度な「中日自動翻訳ソフトウェア」を開発しました。今回開発したソフトウェアの翻訳精度は、従来技術の3倍以上の精度を達成しています(NICT調べ)。
なお、本ソフトウェアのデモンストレーションを下記のイベントにて公開します。
● 11月7日(水)~ 9日(金)の「特許・情報フェア&コンファレンス2012」
(東京にて開催)● 11月8日(木)~ 10日(土)の「けいはんな情報通信フェア2012」
(京都にて開催)
今後の展望
今回開発した、この特許文の高精度「中日自動翻訳ソフトウェア」によって、Japioは中国の特許文献を日本語に翻訳及びデータベース化し、来春にも、「Japio世界特許情報検索サービス(Japio-GPG)」の拡張版として事業化する計画です。
JapioとNICTは、今後も、翻訳精度と翻訳速度の一層の向上のために共同研究を継続していきます。
参考資料
表1 新技術と従来技術の翻訳結果サンプルの比較例
中国語の原文と各技術の日本語への翻訳結果(テスト文の一例)
用語 解説
Japio等が主催の特許情報及び知的財産関連の日本最大の専門見本市。最新の特許・情報と知的財産関連の新製品・新技術を紹介する専門展。
- 開催日時:2012年11月7日(水)~ 9日(金)
- 開催場所:科学技術館(東京都千代田区・北の丸公園)
けいはんな学研都市の情報通信関連機関が協力し、情報通信技術の研究成果を発信するとともに、関係機関の相互連携の促進を目的とする地域に根ざしたイベント。
- 開催日時:2012年11月8日(木)~ 10日(土)
- 開催場所:けいはんなプラザほか(京都府相楽郡精華町)
- 詳細情報:https://www.nict.go.jp/univ-com/plan/fair/
「知財立国に向けた新たな課題と対応」より
http://www.jpo.go.jp/cgi/link.cgi?url=/shiryou/toushin/shingikai/sangyou_kouzou.htm
主要各国の特許情報を日本語と英語の両方で検索できるJapioの有償サービス
http://www.japio.or.jp/service/service05.html
問い合わせ先
<事業計画について>
Japio 特許情報研究所
Japio 特許情報研究所
守屋 敏道
TEL: 03-3615-5513(代)
FAX: 03-3615-5521
E-mail:
<技術について>
NICT ユニバーサルコミュニケーション研究所
NICT ユニバーサルコミュニケーション研究所
隅田 英一郎
TEL:0774-98-6350
FAX:0774-98-6955
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<取材依頼 及び 広報について>
NICT 広報部 報道担当
NICT 広報部 報道担当
廣田 幸子
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