独立行政法人 情報通信研究機構(理事長: 宮原 秀夫)は、極めて少ない消費エネルギーで、周囲の状況変化に合わせて適切に機能し続けることができる脳や生体の動作原理をネットワークの制御技術に応用することで、災害時においても有効に機能し、かつ、省エネルギーな光通信ネットワークを実現するための研究開発について、国立大学法人 大阪大学と日本電信電話株式会社に委託して実施することを決定しました。
記
1. 受託者
国立大学法人 大阪大学(幹事)、日本電信電話株式会社
2. 研究開発課題
脳や生体の動作原理に基づく光通信ネットワーク制御基盤に関する研究開発
研究期間: 平成24年度から平成26年度までの3年間
今年度予算額: 120百万円
3. 研究開発の背景と概要
インターネットにみられるように、世界の情報通信量は急激な増大を続けており、さらなるトラヒックの増大や通信利用の多様化が進めば、ネットワークを構成する機器が消費する電力は膨大なものになると予想されています。そこで、光ネットワークのノード(機器)間を直結して途中の複雑な処理を回避する光パス交換技術の進展が期待されています。
しかし、ネットワークが大きくなり必要とされる光パスの本数が増えると、ネットワーク構成の制御が複雑になります。例えば、災害等でネットワークに障害が発生した場合に、障害の連鎖的拡大を迅速に防ぎ、その状況で最適な構成とするためには、あらゆる故障を想定してそれぞれの状況に対応する制御を計算し、あらかじめ準備しておく必要があります。
このため、情報通信ネットワークの大規模化・複雑化に対処することが可能で、かつ、事前予測が困難な環境変動にも適応的に動作してネットワーク障害の拡大を防ぐような革新的な制御技術が必要となっています。
一方、最近の研究成果によって、脳や生体は、大局的な情報交換による全体最適化を行わず、局所的な情報交換によって予測困難な環境変動にも適応的に動作することが可能な自己組織的制御を行っていることが分かってきました。ヒトの脳は140億個の神経細胞が構成する非常に複雑なネットワークであるにもかかわらず、極めて少ない消費エネルギーで、周囲の状況変化に合わせ適切に機能し続けることができます。このような生体の仕組みを光通信ネットワークに応用することで、障害や状況変化に強く、しかも非常に省エネルギーなネットワークの実現が期待できます。この研究開発では、「ゆらぎ制御」と呼ばれる脳などが持つ機構を利用したネットワーク制御方法を開発し、実効性を検証します。
(詳細は下記URL参照)
https://www2.nict.go.jp/collabo/commission/info/20120622koubo.htm
https://www2.nict.go.jp/collabo/commission/info/20120622koubo.htm