一般に、バスケットのドリブルのような繰り返し動作を伴う周期運動を学習して上達していくには、実際の運動と目標とする運動との違いを常にしっかりと見定めることが重要であると直感的には感じます。
ドリブルのほかにも、歩行、楽器演奏、タイピングなど、繰り返し動作を伴ういわゆる「周期運動」は、我々の日常生活や文化的活動にとって重要な運動形態の一つです。しかしながら、これまで運動学習に関する脳内メカニズムの研究は、主に一回きりの運動(物を投げたり、何かに手を伸ばしたりといった「離散運動」)を対象に行われており、日常運動の大きな部分を占める「周期運動」の学習メカニズムについては、よく分かっていませんでした。
そこで今回、我々は、「周期運動」を学習する場合に、脳が視覚的な誤差情報(実際の運動と目標の運動との“ ずれ ”)をどのように処理し、運動を修正・学習しているのかを、“ システム同定 ” というデータ解析手法を用いて調べることにしました。