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多言語・複数人で同時に会話ができる!
スマートフォン用 翻訳アプリ “ChaTra” を開発

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2011年10月13日

独立行政法人情報通信研究機構(以下「NICT」、理事長:宮原 秀夫)は、スマートフォンを利用して、異なる言語を話す複数人が同時にChat(チャット)のように会話ができる、音声翻訳アプリ“ChaTra”(チャトラ)を開発しました。このアプリは、昨年8月から無料公開中の“VoiceTra”を応用したもので、会話しようとする複数人(最大5名)が、個々の端末間(iPhone、Android用の端末)を接続し、異なる言語で同時にコミュニケーションをとることができます。

背景

NICTでは、言葉の壁の克服を目指して、政府が推進する社会還元加速プロジェクトである「言語の壁を乗り越える音声コミュニケーション技術の実現」に向け、多言語の自動音声翻訳技術の研究開発に取り組んでいます。

NICTは、多言語の自動音声翻訳技術の研究成果を広く周知し、利用データによる性能改善及びユーザビリティ調査を行うための実証実験として、昨年8月にiPhone用、今年4月にはAndroid用の音声翻訳アプリケーション“VoiceTra”の無料公開を開始しました。これらのアプリケーションは大変好評を博しており、これまでに合計で50万件を超えるダウンロード数を記録しています。このような状況の中、単体の端末からの音声翻訳利用だけでなく、複数人が多言語で同時に会話ができる利用方法について、研究開発を進めてきました。

今回の成果
“ChaTra”起動時の画面
“ChaTra”起動時の画面

今回、NICTは、各個人のiPhoneあるいはAndroid端末を使って、複数人での会話を可能にする翻訳アプリケーション“ChaTra”(チャトラ)”を開発しました。この“ChaTra”は、現在公開中の“VoiceTra”(テキストによる入出力21言語対応(うち、6言語は音声による入出力にも対応)、分かりやすいユーザインタフェース、旅行会話用としての高い翻訳精度など)の機能を応用したものです。“ChaTra”は、スマートフォンの機種や通信事業者によらず、複数人の間で接続し、翻訳を介した会話ができるとともに、3G回線又はWiFiを介して世界中から利用することが可能です(契約形態によっては、通信事業者への料金が高額にかかることがあります。)。なお、同時に接続可能な人数は最大5名です。

NICTでは、性能評価・改良及びユーザビリティ調査のための実証実験として、年内に“ChaTra”の無料公開を行う予定です。

今後の展望

多言語の自動音声翻訳技術について、NICTでは、今後、民間事業者の協力により事業化の検討を進め、研究開発成果の社会還元を加速していきます。また、“ChaTra”は、ITU-T(国際電気通信連合電気通信標準化部門)において我が国が中心になって標準化されたプロトコルを実装しているため拡張性に優れており、この点を生かして、来年度からは、さらに広く世界各国の研究機関と協力した音声翻訳の実証実験を計画しています。

* VoiceTra(ボイストラ)は、NICTの登録商標です。
* Androidは、Google Inc.の商標です。
* iPhoneは、米国および他の国々で登録されたApple Inc.の商標です。

補足資料

1. “ChaTra” の利用イメージ

1) スマートフォンにインストールされた"ChaTra"のアイコン(図1)をタップしてアプリケーションを起動。
2) 起動画面(図2)の表示後、設定画面(図3)で利用する言語を選択、 設定完了をタップ。
3) Chatを始めたいときには、リストから参加者をピックアップして、Chatを開始。

図1 アイコン
図1 アイコン
図2 起動時の画面
図2 起動時の画面
図3 設定画面
図3 設定画面

4) Chatが始まると、自分の利用する言語でChatのログを見ることができます。音声又はテキストのどちらかで入力すれば、相手の端末から音声及びテキストの両方で出力されます(音声対応していない言語の場合はテキストのみ利用可能です。)。
  図4は、3名でChatをしている時の英語・日本語を選択しているユーザの画面です。英語を選択しているユーザには英語のみが、日本語を選択しているユーザには日本語のみが表示されています。

図4 Chatをしている画面
図4 Chatをしている画面

"ChaTra"は、音声対応している6か国語(日本語、英語、中国語(普通話)、韓国語、インドネシア語、ベトナム語)を含め21言語に対応しています。
Chat開始時に、Chatに参加するユーザを選択します。
Chatするユーザを特定するために、ユーザ登録が必要となります。
1回のChatに参加できる最大人数は5名で、1時間の制限を設けています。

2. ITU-T標準
図5 標準化文書(F.745)
図5 標準化文書(F.745)

標準化を実装したネットワーク型音声翻訳アプリケーション“ChaTra”では、NICTが音声翻訳を実現するために、ITU-Tにおいて標準化した通信手順(ITU-T勧告H.645、F.745)を利用しています。





技術的な内容に関する 問い合わせ先

ユニバーサルコミュニケーション研究所
MASTARプロジェクト
プロジェクトリーダー 隅田 英一郎

Tel: 0774-98-6350
Fax: 0774-98-6955
E-mail:

取材・広報に関する 問い合わせ先

広報部 報道担当
廣田 幸子

Tel: 042-327-6923
Fax: 042-327-7587
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