自然災害や気候変動問題などへの対応は、我が国にとっても世界にとっても喫緊の課題であり、こうした課題に対応することが求められています。これらの複雑な現象に対して適切な対策を取るためには、様々な分野にわたる科学データを整備し、それらを連携させて解析を行うことが必要ですが、実際は、各国の研究機関が分野ごとに様々な形式でデータを保管・提供しているため、専門外の研究者による分野横断型のデータ利用が難しく、せっかく得られたデータがこれまで有効に活用されていませんでした。
また、地球環境のようなグローバルな現象を研究するためには、国境を超えたデータの利用が不可欠ですが、そのようなデータ交換を円滑に行うためには、中立的な立場に基づく国際的な協力の枠組みが必要となります。さらに、多様な分野間にわたるデータ解析を可能にするためには、最新の情報科学的手法を活用した解析システムの存在が不可欠ですが、このような解析システムの確立に向けた国際的な取組は、これまで行われていませんでした。
このような状況を改善するため、平成20(2008)年10 月に、国際科学会議において、全世界的な科学データベースのプラットフォームの整備に関するプログラムとして、「世界科学データシステム」の構築プログラムが採択されました。