現在の光通信は、細い糸のようなファイバ中の1本の光の通路(コア)(図1)に、さまざまな光信号を送信しています。光信号は直径9ミクロンの極細のコアに閉じ込められ、コアのエネルギー密度は太陽の表面並みに非常に高く、注入できる信号パワーの限界があり、光信号が歪むことでエラーが生じたり、ファイバが熱破壊を起こす恐れがあります(図2)。伝送方式の開発により、年ごとに増加を続けていた光ファイバの伝送速度は、2001年を境に増加率が鈍り、毎秒100テラビット近辺が限界と考えられていました(図3)。
また、現在の光ファイバ開発当時に、1本のファイバに複数コアをもつマルチコアファイバ(図1)も考えられましたが、それぞれのコアから漏れた信号が干渉しあう、ファイバの結合時にコアがずれる等の技術的問題があり、マルチコアファイバの開発は進みませんでした。