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複数の新世代のネットワーク技術の同時運用による放送配信実験開始

新世代のネットワーク技術でさっぽろ雪まつりの3Dライブ映像を同時配信・制御

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2011年2月7日

独立行政法人情報通信研究機構(以下「NICT」という。理事長: 宮原 秀夫)は、JGN2plus上に新世代ネットワーク技術として研究を進めている3つの技術による動的オンデマンドネットワークを構築し、リアルタイムに最適な経路に切り替えて3Dハイビジョン映像の放送配信を行う世界で初めての実験を2月7日(月)から開始します。

この実験は複数の動的オンデマンドネットワークの制御、運用操作の統合化・高精度化、及び広範囲に対応するネットワーク計測・可視化技術により、ネットワークの状況や伝送内容を踏まえた最適な経路を設定し、品質要求条件の厳しい通信アプリケーションが利用できるようにする試みです。これに加えて将来のIPv6バックボーン環境において、いわゆるトンネルのように既存のIPv4通信を可能にする技術を使った日本-タイ国間のハイビジョン映像配信の実験も並行して実施します。

背景

NICTでは、新世代ネットワークの実現等に向けた研究開発用テストベッドネットワークとしてJGN2plusを構築、運用しており、今回の実験では新世代ネットワークの技術として注目されているDCNOpenFlowPCE/VNTMの3つの技術による動的オンデマンドネットワーク経路上に同一コンテンツ(さっぽろ雪まつり会場からの2D/3Dハイビジョン映像)を、統合化した画面(GUI)からリアルタイムに切り替えて地上デジタルテレビジョン放送向けの配信等に利用するための実験を開始します。

この実験では、一部経路にはテラヘルツ技術を用いた有線・無線融合ネットワークを活用します。放送レベルの品質要求に対応するため、PerfSONAR/PRESTA 10Gのネットワーク計測技術を用いて高精度、広範囲に測定・分析し、利用に最も適した経路を選択することが可能になっています。さらに、現在標準化作業が進められている新方式のIPv6トンネルプロトコル技術を実装したSA46Tを日本とタイ国間で接続してハイビジョン映像を伝送する実験を世界で初めて行います。

なお、本実験は、補足資料に記載された構成図をもとに、別紙に記載された機関の協力、協賛を得て実施します。

実験のポイント

  • 複数の新世代のネットワーク技術を同時運用した放送配信の制御・管理
  • 複数の新世代のネットワーク技術環境をリアルタイムに同一管理画面で計測・制御
  • 標準化に向けたSA46T技術の国外利用及び国際間通信
  • NICT、NEC、FUJITSU 、NTT、Internet2等の国内外の研究機関・企業を含む新世代ネットワーク技術にフォーカスした産官学連携

今後の展望

NICTでは、今後、JGN2plusで得られた本成果などを通して、新世代ネットワークの実現に向けたテストベッドネットワーク「JGN-X」を 構築し、クラウド、放送、医療など、様々な要求条件を持つアプリケーションを収容可能なネットワーク技術の研究開発に取り組んでいきます。

別紙

  1. 主催
    独立行政法人 情報通信研究機構 大手町ネットワーク研究統括センター
  2. 協力団体
    • 朝日放送株式会社(ABC)
    • 株式会社スカイ・エー(スカイ・A)
    • 株式会社GAORA
    • 株式会社毎日放送(MBS)
    • 北海道テレビ放送株式会社(HTB)
    • 北海道放送株式会社(HBC)
    • NTTコミュニケーションズ株式会社
    • 日本電信電話株式会社
    • エヌ・ティ・ティ アイティ株式会社
    • KDDI株式会社
    • 西日本電信電話株式会社
    • 北海道総合通信網株式会社(HOTnet)
    • 株式会社協和エクシオ
    • 株式会社アクタスソフトウェア
    • 株式会社オービス(OBIS)
    • 株式会社電通国際情報サービス
    • シスコシステムズ合同会社
    • ジュニパーネットワークス株式会社
    • 富士通株式会社
    • 株式会社富士通コンピュータテクノロジーズ
    • 日本電気株式会社
    • 株式会社日立国際電気
    • 株式会社PFU
    • ディーリンクジャパン株式会社
    • ファットウェア株式会社
    • 有限会社MKcom(エムケイコム)
    • 倉敷芸術科学大学
    • 東京大学
    • 岡山県
    • 岡山県高度情報化推進協議会
    • 沖縄県
    • 沖縄県名護市
    • 沖縄県宜野座村
    • 沖縄県北部広域市町村圏事務組合
    • 韓国国立情報社会振興院(National Information Society Agency) - 韓国
    • QGPOP (Kyushu GigaPop Project)
    • KOREN (Korea Advanced Research Network) - 韓国
    • サイバー関西プロジェクト(CKP)
    • 特定非営利活動法人 NDA
    • 日本学術振興会日韓拠点事業
    • Asia-Pacific Advanced Network(APAN)
    • NECTEC(National Electronics and Computer Technology Center) - タイ
    • The National Telecommunications Commission of Thailand - タイ
    • Thai Social/Scientific Academic and Research Network - タイ
    • North Star Production Co.,Ltd. - タイ

補足資料
図1 2011年さっぽろ雪まつり関連実証実験イベント実験構成図
図1 2011年さっぽろ雪まつり関連実証実験イベント実験構成図

<実験スケジュール(主なもの)>
2/7〜13 第62回さっぽろ雪まつり

  • 2/7
    動的オンデマンドネットワークを実現する複数の新世代ネットワーク技術であるOpenFlow、DCN、PCE/VNTMや、120GHz帯無線技術を用いて、JGN2plus及びGEMnet2上に複数の仮想ネットワークプレーンを構築。利用するプレーン を切り替えながら、直接ライブ配信の実証実験を実施。この中で、実際の放送への中継を行う。
  • 2/8
    前日と同様に複数の新世代ネットワーク技術を用いて、それぞれさっぽろ雪祭り会場から世界各地へ同時に中継映像や素材伝送の実証実験の実施を行う。この際、複数の新世代ネットワーク技術を同一管理画面でコントロールするとともに、各プレーンによる映像伝送の計測結果を解析し、最適なプレーンや伝送経路を利用する実験を行う。

用語解説

JGN2plus

NICTが2008年4月から運用しているオープンな研究用の超高速・高機能研究開発テストベッドネットワーク。

DCN

Dynamic Circuit Networkの略で、通信回線上に、ユーザが要求した時間帯にのみスケジューリングして、他の通信の影響を受けない仮想的な回線をつくる機構。

OpenFlow

米国Stanford大学が中心となり設立した「OpenFlowコンソーシアム(http://www.openflowswitch.org/)」が提唱しているネットワーク技術および制御プレーンインタフェース仕様の総称。NECは設立当初から同コンソーシアムに参加しており、本実験ではOpenFlow機器を全国に展開。

PCE/VNTM

Path Computation ElementおよびVirtual Network Topology Managerの略で、従来のMPLSラベルに加えて光波長もラベル化するGMPLSネットワーク上で複数の仮想IP網トポロジを提供する技術である。 NTTネットワークサービスシステム研究所はIETFにおいて本技術をRFC 5212, 5623として標準化することに寄与するとともに、本技術に基づいて開発したネットワーク制御サーバを用いて本実験に参加している。

さっぽろ雪まつり

1950 年に、地元の中・高校生が6つの雪像を大通公園に設置したことをきっかけに始まった。雪合戦、雪像展、カーニバル等を合わせて開催し、5万人余りの人出 で予想以上の大人気。以後、札幌の冬の行事として市民に定着していくことになる。1974年以後、瀋陽、アルバータ州、ミュンヘン、シドニー、ポートラン ドなど札幌とつながりの深い外国地域の雪像が制作され、国際色あふれるイベントとして発展。現在では毎年200万人以上の人々が訪れ、世界中の多くの人々 に愛されるまつりへと成長を続けている。今回の開催で62回目。

GUI

Graphical User Interfaceの略で、情報をグラフィカルに表示するユーザインターフェースのこと。

PerfSONAR(パーフソナー)

ネットワークの性能計測データを集めて、それを統一された方式で共有する機構。

PRESTA 10G

10Gbpsのキャプチャ・ジェネレータ機能を有する10ナノ秒粒度で測定可能なネットワーク測定システム。NTT未来ねっと研究所が開発。

SA46T

現在標準化作業が進められている、IPv6バックボーンの中にトンネルを張りIPv4通信を可能にする技術で富士通株式会社が開発。

<実証実験に関する 問い合わせ先>
連携研究部門テストベッド研究推進グループ
森信 拓、松川 良樹

Tel:03-3272-3060
Fax:03-3272-3062
E-mail:

<広報 問い合わせ先>
総合企画部広報室
報道担当 廣田 幸子

Tel:042-327-6923
Fax:042-327-7587
E-mail: