- 光ファイバ無線を使用して1本のファイバで放送と複数の無線信号を同時に伝送
- 光ケーブルテレビ網を利活用することで安価なインフラを迅速に構築可能
情報通信研究機構・大阪工業大学・大阪大学、および近鉄ケーブルネットワーク株式会社は総務省戦略的情報通信研究開発推進制度(SCOPE)の支援を受けて共同研究「デジタルデバイド解消のための放送・通信融合サービス提供技術の研究開発」を実施しています。
今回、奈良県吉野郡野迫川村で電波の放射試験を行うための実験局免許を取得し、実証実験を開始しました。
携帯電話の圏外対策等に用いられる光ファイバ無線(Radio-on-Fiber)は、光ファイバさえあれば様々な無線信号を高品質で遠隔地に届けることができます。本研究開発では、人口過疎地域等で通信インフラの整備が遅れるデジタルデバイド問題の解消への新しい試みとして、光ケーブルテレビ網を利用して無線信号をサブキャリア多重し、ハイクオリティなままで光ファイバ無線伝送しています。これにより野迫川村の実験地域では高速無線インターネットの利用や地上波デジタル放送の受信が可能になっています。
これらの研究成果は、将来的に全国的ブロードバンド展開を始めとして広範な用途で用いられることが期待できます。また、2010年12月8日(水)~10日(金)にパシフィコ横浜で開催されるAPMC2010国際学会と同時開催のマイクロウェーブ展2010にて展示発表を行う予定です。
用語解説
携帯電話やWiMAX、無線LANを代表として様々な無線システムが混在している環境を意味します。これらをまとめて取り扱える異種無線ネットワーク(ヘテロジニアスネットワーク)と呼ばれる新しいネットワーク・システムが今後の社会インフラとして重要視されています。
Radio-on-Fiber(RoF)とも呼ばれる技術で、信号を電波の形式のまま光ファイバに閉じ込めて遠隔地へ伝送する技術です。従来では同軸ケーブルで伝送するか、デジタル信号に復調して伝送する方法が採られていましたが、RoFはこれらの技術に比べて品質や設備コストの面でメリットがあり、携帯電話の圏外対策など近年様々な場所で利用が進んでいます。
先端ICTデバイスグループ
稲垣 恵三
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