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異種無線信号の光ファイバ伝送実証実験を開始

デジタルデバイド問題解消へ向けた新しいアプローチ

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2010年12月3日

情報通信研究機構・大阪工業大学・大阪大学、および近鉄ケーブルネットワーク株式会社は総務省戦略的情報通信研究開発推進制度(SCOPE)の支援を受けて共同研究「デジタルデバイド解消のための放送・通信融合サービス提供技術の研究開発」を実施しています。

今回、奈良県吉野郡野迫川村で電波の放射試験を行うための実験局免許を取得し、実証実験を開始しました。

実験の特徴

  1. 光ファイバ無線を使用して1本のファイバで放送と複数の無線信号を同時に伝送
  2. 光ケーブルテレビ網を利活用することで安価なインフラを迅速に構築可能

内容

携帯電話の圏外対策等に用いられる光ファイバ無線(Radio-on-Fiber)は、光ファイバさえあれば様々な無線信号を高品質で遠隔地に届けることができます。本研究開発では、人口過疎地域等で通信インフラの整備が遅れるデジタルデバイド問題の解消への新しい試みとして、光ケーブルテレビ網を利用して無線信号をサブキャリア多重し、ハイクオリティなままで光ファイバ無線伝送しています。これにより野迫川村の実験地域では高速無線インターネットの利用や地上波デジタル放送の受信が可能になっています。

今後の展望

これらの研究成果は、将来的に全国的ブロードバンド展開を始めとして広範な用途で用いられることが期待できます。また、2010年12月8日(水)~10日(金)にパシフィコ横浜で開催されるAPMC2010国際学会と同時開催のマイクロウェーブ展2010にて展示発表を行う予定です。

補足説明図

実証実験の概要図
実証実験の概要図

用語解説

異種無線信号

携帯電話やWiMAX、無線LANを代表として様々な無線システムが混在している環境を意味します。これらをまとめて取り扱える異種無線ネットワーク(ヘテロジニアスネットワーク)と呼ばれる新しいネットワーク・システムが今後の社会インフラとして重要視されています。

光ファイバ無線

Radio-on-Fiber(RoF)とも呼ばれる技術で、信号を電波の形式のまま光ファイバに閉じ込めて遠隔地へ伝送する技術です。従来では同軸ケーブルで伝送するか、デジタル信号に復調して伝送する方法が採られていましたが、RoFはこれらの技術に比べて品質や設備コストの面でメリットがあり、携帯電話の圏外対策など近年様々な場所で利用が進んでいます。

サブキャリア多重

複数の異なる無線信号を光ファイバで伝送する場合、低コストでの実現を考慮すると1本のファイバで伝送できることが望ましい。この場合、無線信号毎に波長を割り当てて多重する波長分割多重方式(WDM)と、無線信号を電気信号の段階で多重しまとめて光信号に変換するサブキャリア多重(SCM)があります。本実験では、無線信号の種類や送受信装置の簡略化を考慮してSCM伝送を採用しています。なお、SCM伝送により実証実験を行った例は非常に稀です。

<本件に関する 問い合わせ先>
独立行政法人 情報通信研究機構新世代ネットワーク研究センター
先端ICTデバイスグループ
稲垣 恵三

Tel:042-327-5754
E-mail: