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準天頂衛星システムにおける時刻管理技術の研究開発

初号機「みちびき」搭載基準時刻管理部の正常動作を確認

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2010年11月29日

高精度な衛星測位では、衛星に搭載された原子時計の時刻を正確に管理することが極めて重要です。独立行政法人 情報通信研究機構(以下「NICT」という。理事長:宮原 秀夫)は、準天頂衛星初号機「みちびき」に搭載された基準時刻管理部TTSの正常動作が確認されたことから、地上系との連携確認を踏まえて、12月中旬にも時刻管理技術の一手法である双方向時刻比較技術等の実証実験に取り組む予定です。

背景

衛星測位においては、搭載原子時計の時刻を正確に求めるほど、軌道推定も正確になり、測位精度も向上します。衛星搭載原子時計の時刻管理の手法はいくつか考えられますが、NICTでは日本標準時を生成・供給、また時刻・周波数の比較等の研究を行ってきたことから、総務省からの委託により、衛星搭載原子時計と地上の日本標準時との時刻比較を高精度に行う技術実証実験に取り組む予定です。

今回の成果

NICTは、TTS等を用いた準天頂衛星初号機「みちびき」搭載原子時計と地上系システムとの双方向時刻比較技術の実証実験環境(図1)において、11月上旬にTTSの時刻比較機能・ベントパイプ機能などが正常に動作していることを確認しました(図2)。これにより、NICTは、12月中旬にも衛星測位システムにおいて重要な時刻管理技術の一手法である衛星双方向時刻比較技術等の実証実験に取り組みます。

今後の展望

今後はTTSの長時間連続試験などを行った後、12月中旬にも「みちびき」を用いた技術実証実験を開始します。技術実証実験では衛星-地上間の高精度時刻比較実験、地上-地上間時刻比較の広帯域・狭帯域ベントパイプ実験、GPSとのタイムオフセット比較等が予定されております。

図1 準天頂衛星の高精度時刻比較システム概略図
図1 準天頂衛星の高精度時刻比較システム概略図
図2 双方向時刻比較信号(左)及び沖縄局のアンテナ写真(右)
図2 今回確認された基準時刻管理部(TTS)より送信されたKu帯の双方向時刻比較信号(左)及び沖縄局のアンテナ写真(右)

用語解説

TTS(time transfer subsystem):基準時刻管理部

準天頂衛星において、双方向技術を利用して高精度に時刻・周波数の比較を行う搭載装置です。Ku帯の周波数(上り14GHz帯、下り12GHz帯)を利用した地上局の原子時計との時刻比較やベントパイプ機能等があります。

総務省からの委託

地理空間情報活用推進基本計画(平成20年4月15日閣議決定)において、国は衛星搭載原子時計の時刻の同期技術等の高精度衛星測位技術の研究開発を実施することとされています。

ベントパイプ機能

衛星を単なる中継器として利用する機能です。離れた2地点間の高精度時刻・周波数比較では、静止通信衛星のベントパイプ機能が利用されますが、準天頂衛星のような非静止衛星を用いた高精度時刻・周波数比較は、初の試みです。


本件に関する 問い合わせ先

新世代ネットワーク研究センター 
光・時空標準グループ

小山 泰弘、浜 真一
Tel:042-327-5690
Fax:042-327-6664
E-mail:

取材依頼及び広報 問い合わせ先

総合企画部 広報室

報道担当 廣田 幸子
Tel:042-327-6923
Fax:042-327-7587
E-mail: