本文へ
文字サイズ:小文字サイズ:標準文字サイズ:大
  • English Top

スマートフォンを用いた21言語間のネットワーク型多言語音声翻訳を実現

  • 印刷
2010年6月29日

独立行政法人情報通信研究機構(以下「NICT」、理事長:宮原 秀夫)は、MASTARプロジェクト(プロジェクトリーダー:中村 哲)において、多言語の音声・言語処理の研究開発を進めています。この度、対象言語を「超」多言語化し、日本語、英語、中国語、ベトナム語、インドネシア語、マレー語の6言語の音声入力に対し、21言語への翻訳出力を可能にしました。このうち、日本語、英語、中国語、ベトナム語、インドネシア語、マレー語へは音声出力、それ以外の言語へはテキスト出力が可能です。今回、この技術を、スマートフォンを用いたネットワーク型サービスとして実現しました。

背景

言葉の壁は今日のボーダーレス社会において、未だにコミュニケーション時の大きな課題です。この壁を克服するため、現在、NICTでは内閣府・総務省と共同で社会還元加速プロジェクトの一つである「言語の壁を越える音声コミュニケーション」として、話した言葉をその場で相手の言語に翻訳する音声翻訳技術の研究開発に取り組んでいます。

さらに、この技術をスマートフォンを用いたネットワーク型サービスとして実現しました。利用できる端末は、世界で約5000万台が稼働しているiPhoneTMで3GまたはWiFiの通信により世界各地で利用可能です。

今回の成果

これまでNICTでは、日・英・中の3言語の双方向旅行会話音声翻訳技術を研究開発してきました。今回、NICTの独自技術とコーパス構築により、翻訳部分を21言語に拡張することに成功しました。音声出力では、従来の3言語に加え、ベトナム語、インドネシア語、マレー語が加わり6言語へ、テキスト出力では21言語への翻訳が可能になりました(補足資料参照)。

さらに、この技術をスマートフォンを用いたネットワーク型サービスとして実現しました。利用できる端末は、世界で約5000万台が稼働しているiPhoneTMで3GまたはWiFiの通信により世界各地で利用可能です。

今後の展望
図1 スマートフォンを用いた音声翻訳の利用風景
スマートフォンを用いた音声翻訳の利用風景

地球上の人口の約8割をカバーする21言語間の音声入力や出力の音声翻訳技術の研究開発を行い、さらなる多言語化の研究開発を進めていきます。

一方、今年度、本サービスをスマートフォンを利用した形で一般公開し、さらなる機能の実証検証、課題分析、技術の向上を進めて、本格的な実用化を目指します。

※ iPhone はApple Inc.の商標または登録商標です。

補足資料


図 2 音声翻訳により日本語から英語へ翻訳した画面(逆翻訳によるチェック機能付き)
図 2 音声翻訳により日本語から英語へ翻訳した画面(逆翻訳によるチェック機能付き) (左:音声翻訳画面、 右:言語選択画面)
対象言語

21言語は、日本語、英語、中国語(北京語・台湾華語)、ドイツ語、フランス語、デンマーク語、オランダ語、イタリア語、スペイン語、ポルトガル語、ブラ ジル・ポルトガル語、ロシア語、アラビア語、ヒンディ語、インドネシア語、マレー語、タイ語、タガログ語、ベトナム語、韓国語。

このうち、日本語、英語、中国語、ベトナム語、インドネシア語、マレー語の音声入力及び音声出力が可能、それ以外の言語はテキスト出力を実装。(以下の表を参照)

表 翻訳対象言語
表 翻訳対象言語

用語解説

コーパス

例えば、新聞記事を1年分集めたものなどのように、文を集めたものです。ひとつの言語で書かれた文だけを集めたもの(単言語コーパス) や、複数の言語で書かれた文を集めたもの(対訳コーパス)などがあります。

<取材・広報に関する 問い合わせ先>
独立行政法人 情報通信研究機構総合企画部 広報室
報道担当 廣田 幸子

Tel:042-327-6923
FAX:042-327-7587
E-mail:

<技術的な内容に関する 問い合わせ先>
知識創成コミュニケーション研究センターMASTARプロジェクト
プロジェクトリーダー 中村 哲

Tel:0774-98-6800
E-mail: