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独立行政法人情報通信研究機構1と国立大学法人東京大学2は、翻訳者支援サイト「みんなの翻訳」を運営しています。当サイトは、インターネットにつながったPCさえあれば世界のどこからでも利用できます。
今回、当サイトを利用することにより、公立大学法人神戸市外国語大学3と英国リーズ大学4が、共同翻訳プロジェクトを開始しました。このプロジェクトでは、両大学の学生ボランティアが、英国の小説家ブロンテ姉妹ゆかりのブロンテ博物館の英語の展示情報を日本語に翻訳しています。このプロジェクトは現在も継続中です。
世界の文化財の多くは、母国語のみで情報発信されており、観光の国際化の大きな妨げになっています。そこで、2009年10月、外大とリーズ大は、日本や英国の文化財の情報発信の国際化を支援する共同プロジェクトを企画しました。ところが、国際的に協力しながら使える翻訳用の良いツールがありませんでした。一方、NICTと東大は、2009年4月に、ボランティア翻訳者を支援するサービス「みんなの翻訳」を公開しました。「みんなの翻訳」は、インターネットにつながったPCさえあれば世界のどこからでも利用できます。
「みんなの翻訳」が外大とリーズ大により、国際協力で翻訳するためのプラットフォームとして評価され、ブロンテ博物館資料を手始めに、日英の大学共同での翻訳が実施されました。
このプロジェクトは現在継続中ですが、すでに、ブロンテ博物館の展示パネルの一部が日本語化され、日本からの観光客にも便利になりました。また、「みんなの翻訳」が、国際的な共同翻訳プロジェクトに有用であることが実証されました。
共同翻訳の結果は、ブロンテ博物館のパンフレットとして利用されるとともにWebサイトで公開される予定です。さらに、関係4機関は、今回のプロジェクトをモデルケースとして、「みんなの翻訳」を利用した共同翻訳プロジェクトを、各地の大学に働きかけて、世界展開をはかっていきます。
ボランティア翻訳者を支援するサイト:みんなの翻訳
「みんなの翻訳」は、NGOなどのボランティア翻訳者が簡単に辞書引きや共同翻訳できる仕組みを提供するとともに、一般の人が、ボランティア翻訳者の翻訳文書を閲覧できるようにしています。「みんなの翻訳」では、翻訳者が翻訳することが前提ですので、自動翻訳システムは備えていません。
ボランティア翻訳者は、NPOの文書やブログなどの様々な文書を翻訳しています。また、日本のボランティア翻訳者は現在数千人程度ですが、潜在的なボランティア翻訳者の数は、数十万人程度と推定されます。そのため、適切な翻訳支援環境を提供すれば、より多くの人が翻訳をするようになり、より多くの外国の情報を取り込めるとともに、日本情報の発信もできるようになるでしょう。このような動機から、NICT言語翻訳グループと東大図書館情報学研究室は、「みんなの翻訳」という翻訳者支援のためのWebサイト(図1) を昨年度4月に開設しました。
「みんなの翻訳」の特徴は、(1)高機能な翻訳支援エディタで誰もが利用できること、(2)「みんなの翻訳」上で公開されている翻訳には、「一定の条件の下で、二次的著作物を作成し、それを公開しても良い」というライセンスが付与され、適切な使用であれば翻訳を利用できる、(3) 三省堂の協力により「グランドコンサイス英和辞典(36万項目収録)」が翻訳支援に利用できることです。
「みんなの翻訳」では、現在、アムネスティ・インターナショナル日本やデモクラシー・ナウ!ジャパンなどの著名なNGOを含む1100名以上の利用者が、その翻訳支援機能を活用しています。また、大学のゼミ等で英語の文献を読むときにも利用されています。図2は、「みんなの翻訳」の利用者数の伸びを示しています。
現状の「みんなの翻訳」は、英日および日英の翻訳しかサポートしていませんが、近日中に、日中および中日の翻訳をサポートする予定です。さらに、共有された翻訳や用語を有効利用するための言語処理技術を研究開発していきたいと思います。
【参考】
「みんなの翻訳」プロジェクト
東大 椎茸プロジェクト
ブロンテ博物館
リーズ大 School of Modern Languages,Centre for Translation Studies
NICT 言語翻訳グループ
外大
言語翻訳グループ
内山 将夫
Tel:0774-98-6343
図書館情報学研究室教授
影浦 峡
Tel:042-327-6923
屋久
Tel:078-794-8161
廣田 幸子
Tel:042-327-6923
船山 仲他
E-mail:funayama@hcn.zaq.ne.jp
Tony Hartley
E-mail:a.hartley@leeds.ac.uk