電子看板は、設置されている場所の時々刻々と変化する環境や利用者の要望等の状況に応じて表示内容を動的に更新することで、より効果的な情報提供やインタラクティブなサービスを実現しようとするもので、デジタルサイネージとも呼ばれています。現在、電子看板を利用者の持つ携帯電話と連携させることでより多様なニーズに応えられると期待され、連携手段が研究されています。しかしながら、URLや二次元バーコードを表示する場合、文字や静止画像なので容易にコピーされ、電子看板の前にいなくても接続できてしまい、不正なアクセスを許してしまうという課題がありました。
独立行政法人情報通信研究機構(以下「NICT」という。理事長:宮原 秀夫)は、携帯電話のカメラを使って、電子看板上に投影された零次元コードを撮影することにより、電子看板と携帯電話とが安全に接続されて、携帯電話から電子看板の操作ができるようになる電子看板システムの開発に成功しました。本技術の開発により、慣れ親しんだ携帯電話をリモコンのように使って、公共の場に置かれた電子看板をインタラクティブに活用するさまざまなサービスを容易かつ安全に実現できます。
NICTは、二次元バーコードに代わって、四角や星などの形をしたアイコンの色を高速に変化させ、その変化のパターンをコードとして情報を埋め込む零次元コードを提案しており、今回初めて、零次元コードによる安全な相互接続により電子看板と携帯電話が連携する実証デモシステムを開発しました。
今回のシステムでは、携帯電話にダウンロードした専用のアプリケーションソフトで、電子看板に表示された複数の零次元コードのアイコンのうち、希望する サービスに対応したマーカをわずか3秒程度撮影することで、携帯電話が電子看板と連携し、携帯電話により電子看板を操作できるようになります。
零次元コードは、撮影されたアイコン映像を再撮影してコピーしたものではコードの識別はできなくなるため、不正なアクセスを防ぐことができます。利用者は、使い慣れた自分の携帯電話で、簡単に電子看板を操作できるようになり、一方、電子看板の管理者は、キーボードやマウスなどの入力装置を設置しなくても幅広いインタラクティブなサービスを容易に導入し、安全に提供できるようになります。
今後は、一つの電子看板を同時に複数の利用者が携帯電話を使って操作する多人数参加型のアプリケーションの開発を行います。
なお、3月4日(木)に石川県いしかわサイエンスパークで開催される「次世代ホームネットワークサービス公開実験」にて本システムの動態展示を行います。
用語解説
電子看板は、公共の場所などに置かれたディスプレイやプロジェクタの画面を使って、より効果的に情報提供するために表示内容を更新したり、インタラクティブなサービスを提供したりするシステムです。そのために電子看板には、画面の前の人にキーボードやマウス、タッチパネル等を操作させたり、あるいは画面の周りにいる人たちの様子をセンサ等で調べたりする機能が組み込まれていることもあります。
張 兵
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