NICTでは、言語を越えたコラボレーションを支援するための多言語サービス基盤「言語グリッド」を構築してきました。言語グリッドは、サービスコンピューティングに基づき、インターネット上の言語資源(辞書や翻訳ソフトウェア等)による多言語サービスを接続することで、ユーザによるサービスの自由な組み合わせを可能にしています。しかしながら、多言語サービスを利用して、 ユーザの要求にあった多言語コラボレーション支援ツールを各自で開発するには大きなコストが生じていました。そこで、カスタマイズ可能な汎用的な多言語コラボレーション支援ツールの提供が言語グリッドのユーザから求められてきました。
独立行政法人情報通信研究機構(以下「NICT」という。理事長:宮原 秀夫)と国立大学法人京都大学大学院情報学研究科(石田 亨教授)を中心とする研究グループは、多言語コラボレーション支援ツール「言語グリッドツールボックス(以下「ツールボックス」という。)」をオープンソースソフトウェアとして公開します。
本ソフトウェアにより、多言語テキスト翻訳、多言語掲示板、多言語辞書作成、多言語Webページ作成といった汎用的な多言語支援機能を利用できるだけでなく、これらの機能を組み合わせ、利用現場に応じた多言語コラボレーション環境の実現が容易になります。
1月20日(水)、NICTけいはんな研究所にて、“ツールボックスによる多言語コラボレーション”支援のデモを実施します。
ツールボックスは、世界中で用いられているCMS(コンテンツマネージメントシステム)に、多言語モジュールを追加して実現した汎用的な多言語コラボレーション支援ツールです。NICTの開発したツールボックスの基盤の上に、ユーザ各自で開発した多言語モジュールを追加しカスタマイズすることができます。これまでのCMSでは多言語コンテンツの管理や表示が可能でしたが、インターネット上の多言語サービスを組み合わせてコンテンツを多言語化する機能の拡張は初めてです。
今回は、ツールボックスの基盤に加えて、総務省戦略的情報通信研究開発推進制度 (SCOPE)の助成を受けて開発された多言語掲示板、多言語Webページ作成、多言語辞書作成、多言語テキスト翻訳の4つの汎用的な多言語モジュールも公開されます。
ツールボックスはオープンソースソフトウェアとして公開されるため、今後、様々なユーザによる多言語モジュールの開発が期待されます。またNICTでは、ツールボックスの普及を促進し、国際交流・多文化共生の活動を支援するために、ツールボックスサーバーのホスティングサービス(無償)も開始します。
NICTは、教育、医療、防災といった分野での利用を通して言語グリッドおよびツールボックスを改良し、全国各地域における多文化共生活動や国際交流活動を支援していきます。
- <ツールボックスのデモの実験は以下のとおり>
- 日時 : 平成22年1月20日(水) 13時30分-14時30分
- 会場 : NICT けいはんな研究所 京都府相楽郡精華町光台3-5
<ツールボックスの概要>
NICTの開発したツールボックス基盤に、多言語コラボレーションを支援する機能(多言語モジュール)を自由に登録でき、ユーザの要求に合わせた多言語コラボレーション支援環境を構築できます。
<ツールボックスの多言語サービス設定>
言語グリッド上に登録された多言語サービスを自由に選択し組み合わせて、ツールボックスの多言語モジュールで利用することができます。例えば、日英翻訳で あれば「Google翻訳」、「WEB-Transer」、「J-Server」、「Translution」、「訳してねっと」の5種類から選択できま す。また、複数の翻訳サービスや辞書サービスを組み合わせて利用することもできます。
用語解説
ソースコードが無償で公開されているソフトウェア。ソフトウェアの著作権者の権利を守りながら、ソフトウェアの使用、複製、改変、再頒布が認められている。今回公開するツールボックスは、GPL(GNU General Public License)で公開される。
Webコンテンツを構成するテキストや画像などのデジタルコンテンツを体系的に管理し、Webの技術的な知識がなくても、コンテンツを用意することで、Web上での情報発信を可能にするシステム。ユーザは専用のモジュールを追加登録することで、容易に機能拡張を行うことができる。今回は、CMSとして広く普及しているXOOPSを採用。
村上 陽平
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