健康リスクが想定される作業現場では、作業従事者の時々刻々の健康管理が必要と言われており、簡単に着装でき、作業に不便・不安を与えずに、遠隔からリアルタイムに管理できる事が重要です。胸のポケットに取り付けた放射線センサーと胸の体表に着装した小型心電計、それぞれから無線でセキュアに送られてくる放射線被ばく線量と、心拍・心電図が時間的流れに従って、遠隔管理者の管理画面に表示することが望まれていました。
独立行政法人情報通信研究機構(以下「NICT」という。 理事長:宮原 秀夫)は、国立大学法人長崎大学、アロカ株式会社、株式会社 R・I・Eと協力して、着装が簡単な小型放射線センサーに、低消費電力セキュリティと低電力無線BAN技術を搭載し、放射線被ばく線量と心拍・心電図を同時に測定・表示する、リアルタイム健康リスク管理BANの実用化に成功しました。
また、同時に、放射線等に関わる作業従事者の非拘束・ハンズフリー及び同作業従事者の手を煩わせない安全な暗号鍵設定技術によるプライバシー確保を実現しました。
これにより、常時着装のウェアラブルBANとして、作業従事者の安心安全を確保する必要のある建築現場等での、遠隔リアルタイム健康管理の提供が可能となります。さらに、作業環境に合わせて複数の種類の小型生体センサーを選ぶことで、作業中の重大な体調変化を様々な角度から捉え、外部への緊急連絡も行うボディ・エリア・ネットワーク(BAN)が実現されます。
NICTは、このたび、ユビキタス保健医療(UMe)プロジェクトにおいて、利用者にとって使い易い生体・生活センサーと、省電力な短距離無線ネットワークでのデータ送付が可能で、かつ、プライバシーを確保した健康管理BANを開発し、その実用化にまで発展させることができました。同時に、標準化に向けた取り組みを行っております。
今回の成果は、放射線のみならず建設作業現場等のリアルタイム健康管理を目的に、作業従事者にとって使い易く、安心できる小型センサーと心電計からなる実用のリアルタイム監視ネットワークの提供を可能とします。
今後はさらに、(1)遠隔リアルタイム監視の受け側となる監視ソフトウェアプラットフォームと(2)安心して使える広域分散健康データ管理に関して、標準化とオープンソフトウェア化を目指す事により、利用分野を拡大していく予定です。
なお、本BANは、11月25日(水)~27日(金)に、東京ビッグサイトで開催される産学官ビジネスフェア2009にて展示します。
補足説明
放射線被ばく量と心拍・心電図の関係が時間的流れに従って画面表示されます。
個人レベルの放射線被ばく線量を測定すると共に、心拍数などを集中管理します。
研究内容に関する 問い合わせ先
黒田 正博
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取材依頼及び広報 問い合わせ先
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