従来、ネット上で情報提供を行っているサービス事業者は、予めテーブルなどに登録したデータ(以下構造化データ)をデータベースで集中管理して検索する手段を提供し、ユーザは検索結果の中から必要な情報を適宜選択した上で活用していました。一方、センサ情報や画像データなどの刻一刻変化するデータはテキスト情報を含まずデータベースのように整理された構造を持たない情報(以下非構造化データ)となっており、これらが広域に分散されて情報発信した場合には、従来の集中型データベースでは管理が困難となり、サービス事業者やユーザの情報活用を難しくしていました。
日本電気株式会社(以下「NEC」という。代表取締役 執行役員社長:矢野 薫)は、独立行政法人情報通信研究機構(以下「NICT」という。理事長:宮原 秀夫)の委託研究「次世代ネットワーク(NGN)基盤技術の研究開発」を受け、従来の集中型データベースでは実現が難しかった、広域環境において様々に変化するセンサや画像などのリアルタイム情報の運用管理を、イベント通知技術を活用するという業界初の手法に基づくストレージシステムを構築することで可能とする、情報基盤技術の開発に成功しました。
この成果により、交通渋滞状況や災害状況などの“今”の情報を、複数ユーザで瞬時に共有し、活用可能なリアルタイムアプリケーションを容易に構築できる、広域情報流通基盤の実現が可能となります。
このたび開発したイベント通知技術を利用した分散情報流通ストレージ基盤は、交通渋滞情報や災害情報などの最新状況を複数ユーザで共有するリアルタイムアプリケーションを容易に構築できる、広域情報流通基盤として期待されるものです。
NICT、NECでは、本成果がNGNの効率的活用や新サービスの提供に大きく寄与する基盤として実用化されるよう、今後も研究開発をより一層推進してまいります。
補足説明
本技術は、イベントを配信する論理ツリーを動的に構成し、多数の機器間でリアルタイム配信ができる「Push型配信」および、近隣の論理ツリーから情報を検索し、即座に結果を得る「Pull型検索」が可能です。これらの組み合わせにより、ネットワーク負荷の増大を防ぎつつ、リアルタイム性の高いイベント通知を実現しています。また、1億台の端末でイベント通知ツリーを構成した場合を小規模実験に基づき机上計算した結果、イベント通知に要する時間を1秒以下に抑えることが可能なことも確認しています。
本技術は、地理的に離れた複数のサーバ間で、データの同期や、更新情報の伝達にイベント通知を活用することで、不用意なデータ参照トラフィックを削減することが可能です。また、データ検索においても、イベント通知を活用して情報検索を実施し、地理的にあるいはネットワーク的に最適なサーバを選択した上でのデータ配信が可能となります。これらにより、レスポンスが良く、リアルタイムに最新情報を提供可能なストレージ基盤を実現しました。
本件に関する 問い合わせ先
知的資産R&D企画本部広報グループ
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