(1) マルチ粒度光スイッチノードアーキテクチャ技術(
図2)
光スイッチ部は3段構成(ファイバスイッチ機能部、波長群スイッチ機能部、波長スイッチ機能部)になっています。1本の光ファイバの中には複数の波長群信号が収容されており、さらに1つの波長群信号の中には複数の波長信号が収容されています。波長まで分解する必要のない信号は波長群単位でスイッチし、波長群までも分解する必要のない信号は光ファイバ単位でスイッチすることによって、光スイッチノードの規模を大幅に低減することができます。言い換えると、同じ規模の光スイッチでより大容量の信号を扱うことができます。
(2) 多波長一括発生光源技術(
図3)
複数の波長を使うWDM伝送では、装置の小型化・経済化の観点から複数の波長を同時に発生させることができる多波長光源が有用です。今回、最大40波まで発生可能な多波長一括光源を開発しました。本光源は、原理的に損失の小さい素子を使用する構成を採用しており、従来の多波長一括光源に比べて雑音の少ない多波長光を発生させることができます。また、本光源は、発生させた各波長の光の強度や周波数や位相といった波としての性質が高い精度で安定化されていることが特徴であり、将来はその性質を利用したさらに高機能な光ネットワークを構築することが可能となります。
(3) ポート拡張可能な無損失光波長スイッチ技術(
図4)
集積化された半導体光増幅器(SOA)を実装した集積光スイッチモジュールを用いて、世界初の8入力ポート、8出力ポートの光スイッチサブシステムを開発しました。このシステムは、ポート単位でのスイッチ規模の拡張が可能な
分配選択型光スイッチ構成で、トラヒックの増加にあわせて、柔軟にポート数を拡張することができます。光スイッチ素子として用いる半導体光増幅器での増幅機能によって、入出力ポート間での光信号強度が劣化することなく、ほぼ一定に保たれたまま、光信号の切り替えが可能となります。今回の実験では、波長スイッチ機能部の光スイッチとして使用しました。
また、ナノ(ナノは10億分の1)秒オーダーでのスイッチング動作が可能であるため、将来のアプリケーションのひとつとして考えられる、
光バースト信号用のスイッチとしても使用することが可能です。
(4) 波長バーチャルコンカチネーション技術(
図5)
波長バーチャルコンカチネーションとは、1つの波長では収容しきれない大容量のひと塊の信号を複数の波長を使って収容する技術です。異なる波長は一般に伝送路中の遅延が等しいことが保証されないので、ひと塊の信号を再生するためには受信側で遅延の調整をする必要があります。今回、40Gbpsの波長を扱うことのできる回路を2つ開発し、その連携動作による遅延調整機能を実証しました。
図1 次世代フォトニックネットワーク構成イメージ
図2 マルチ粒度光スイッチノードアーキテクチャ技術
図3 多波長一括発生光源技術
図4 ポート拡張可能な無損失光波長スイッチ技術
図5 波長バーチャルコンカチネーション技術