衛星で取得した高精細画像の伝送など、将来の宇宙活動を支える大容量通信回線として、衛星間や衛星と航空機などの飛翔体間、及び衛星や飛翔体と地上設備との間をそれぞれレーザ光で結ぶ技術が注目されています。このうち特に、衛星-地上間の通信では、大気を通過するレーザ光の伝搬特性の把握が重要となります。ここで、レーザ光の大気伝搬特性は、標高など、衛星の通信相手となる地上設備の周囲の環境によって異なります。そのため、異なる環境での伝搬特性データの測定が求められています。
DLR、ESA及びNICTの三機関は、それぞれ標高や気候条件の異なる場所に光地上局を設置しています。このため、それぞれの光地上局が同一の光通信衛星を相手としてレーザ伝送を実施することにより、大気がレーザ光の伝搬特性に与える影響を異なる環境下で観測できます。
今回、the German Space Agencyのthe German Space Operations Center GSOC(Oberpfaffenhofen near Munich, Germany)及び光通信装置(LCT)を作製したTesat SpaceCom(Backnang, Germany)のサポートと共にDLR Institute for Communications and Navigationが企画調整を行うことにより、この国際共同実験を実施する運びとなりました。