NICTは、高速ネットワーク技術を活用し、遠隔地の複数の電波望遠鏡を結合して巨大な仮想的電波望遠鏡を構成する技術(e-VLBI)の開発を進めています。この技術は、宇宙の電波源を極めて高い分解能で観測することを可能とし、電波天文学や宇宙工学の他、大陸の移動を計測する測地学などの分野でも活用されています。
2009年1月15日(木)~16日(金)に、2009年世界天文年の記念行事として、大規模なe-VLBI観測が予定されています。これは、欧州のVLBI研究機関であるJIVEの呼びかけで、欧州各国(イギリス、イタリア、ドイツ、スウェーデン、フィンランド、オランダ、ポーランド)の電波望遠鏡だけでなく、米国、豪州、チリ、中国、日本の電波望遠鏡も参加して国際共同観測を行うものであり、史上最大規模の国際e-VLBI観測となります。日本からは、NICT鹿島34mパラボラアンテナが参加し、NICTが開発したディスク記録型VLBI観測システム(K5)を使って、アンテナで観測したデータがそのまま、高速テストベッドネットワークJGN2plusを通して高速のデータレートでオランダに伝送され、リアルタイムに処理される予定です。
NICTの開発したディスク記録型VLBI観測システム(K5)は、海外の観測システムとも高い互換性を持っており、今回の共同観測が実現しました。この観測の様子は、1月15日(木)にパリで開催される2009年世界天文年記念のオープニングセレモニーにおいて、紹介される予定です。