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携帯電話端末による被災調査アプリ「イージー・レポータ」の東日本大震災への適用について

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2011年5月17日

情報通信研究機構は、大規模災害時に、被災地の状況を記録して回り、対策本部等に報告するための携帯電話アプリケーション「イージー・レポータ」を、平成19年度から開発してきました。
  NICTと協力関係にある防災関係機関の調査員が、4月28日に東日本大震災の被災地の一つである岩手県釜石市において、調査活動の傍ら、イージー・レポータの動作確認を行いました。同日午前中に被災地で調査を行い、その結果は同日夜に通信インフラが健全な場所からまとめて送信・提出され、想定通りの動作をすることを確認しました。

イージー・レポータは、基地局停止時にも自立測位により自己位置を把握でき、サーバにアクセスせずとも端末内に収集情報を簡単な操作で蓄積できます。そのため、通信インフラが完全に停止している状況下でも確実に被災状況収集に使え、収集した情報は、対策本部等に端末を直接持ち込んで提供したり、あるいは通信できるエリアに戻ってからまとめて送信したりできます。

図1 イージー・レポータを搭載した携帯電話端末
図1 イージー・レポータを搭載した携帯電話端末
図2 イージー・レポータによる収集情報の一例
図2 イージー・レポータによる収集情報の一例
調査した時刻、被害状況記述(道路被害)、位置(緯度、経度)、現場写真がセットになって記録されている。


イージー・レポータをインストールできる端末は、現時点では特定の機種(au W55T, W62S, W62K)に限定されていますが、今後はスマートフォンなどでも使用できるように強化していくことを検討しています。現時点でも該当機種であれば、電話番号をお申し出いただければ、どなたでも無料でダウンロードし、お試しいただけるようになっています。試用について詳しくは、下記連絡先までお問い合わせ下さい。

<本件に関する 問い合わせ先>

社会還元促進部門 技術移転推進室
滝澤 修
Tel:042-327-7641
E-mail:

<補足資料>

【開発の背景と特長】
  大規模災害が発生した場合、防災対策機関は被災状況を迅速に現地調査し、救援・復旧の戦略を策定する必要があります。正確かつ効率的な現地調査のためにモバイル端末を活用することが考えられますが、災害時のさまざまな制約下において専用の端末を使用することは現実的でありません。そこで、誰もが持ち歩いている携帯電話端末を利用した被災状況収集システムが各種提案されていますが、そのほとんどはサーバにアクセスして情報の登録を行う仕組みであるため、通信できない環境下では全く使えませんでした。

イージー・レポータは、基地局を使わずGPSのみによって取得した自己位置を定期的に自動記録し、ユーザの操作によって被災状況項目選択と写真撮影を行い、メモリーに蓄積するアプリケーションです。その選択項目は、初期設定ファイルによって変更できるため、地震、火災、水害、がけ崩れなど、自治体によって異なる防災ニーズに合わせて選択項目をカスタマイズしたり、防犯見回りのための要注意箇所記録など災害時以外の用途に応用したりすることが容易です。

イージー・レポータは、NICTの自ら研究に加えて、独立行政法人科学技術振興機構社会技術研究開発センターの研究開発プログラム「犯罪からの子どもの安全」による委託研究「子どもの被害の測定と防犯活動の実証的基盤の確立」(平成19~20年度)(関連リンク:http://www.anzen-kodomo.jp/pdf/int02.pdf)、及び文部科学省安全・安心科学技術プロジェクト「住民・行政協働ユビキタス減災情報システム」(平成20~22年度)(関連リンク:http://civil.cec.yamanashi.ac.jp/~takeyasu/pdf/ubiquitas.pdf)の協力等を得て開発されたものです。

被災された皆様には心からお見舞い申し上げますと共に、本アプリケーションが少しでも役立ち、一日も早く復興されますことをお祈り申し上げます。