国立研究開発法人 情報通信研究機構
2015年7月1日
北海道大学 低温科学研究所、名古屋大学 太陽地球環境研究所、駒澤大学、明治大学、国立極地研究所、NICTの研究グループは、2015年6月21日(日)午前2時から3時(日本時間)にかけて、北海道内の陸別町にある名古屋大学 太陽地球環境研究所 陸別観測所 短波ドップラーレーダー観測施設、幌加内町の同研究所 母子里観測所、名寄市のなよろ市立天文台および紋別市のオホーツクタワーにおいて、国内初の夜光雲の観測に成功しました。複数のカメラ画像データを使用した観測により、高度約80~90 kmの夜光雲を検出・同定したのは日本国内で初めてです。
背景
夜光雲は、高度80~90 kmの中間圏界面と呼ばれる領域にできる氷の雲が太陽光を散乱して光る現象です。通常は高緯度地方(緯度60度以上)でのみ夏期に観測されますが、温室効果気体である二酸化炭素とメタンの増加によって、出現頻度が増加し出現領域が中低緯度に広がることが予想され、地球温暖化の進行度合いを示す可能性がある現象として注目されています。近年、フランスやアメリカの中緯度地域においては、年に数回の観測が報告されていましたが、日本国内ではこれまで夜光雲と確証された観測はありませんでした。
今回の観測について
北海道大学低温科学研究所、名古屋大学太陽地球環境研究所、駒澤大学、明治大学、国立極地研究所、NICTの研究グループは、この夜光雲の観測を目的とした観測ネットワークを北海道に構築し、2010年から監視を継続してきましたが、2015年6月21日、夜光雲の国内初観測に成功しました。今回、夜光雲は複数の観測点で撮影されており、これにより夜光雲の出現場所や高度の同定に成功しています。今後、科学的な研究を進めることで、地球温暖化との関連も解明されてゆくと期待されます。