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5月の大型太陽フレア発生後の太陽活動の推移について

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2013年6月13日

独立行政法人情報通信研究機構(以下「NICT」)では5月16日付で報道発表を行い、2週間程度の太陽活動に注意を呼びかけました。その後の推移は、以下のとおりです。

  • 5月13日~15日の間に4回の大型(Xクラス)太陽フレア現象を発生させた黒点領域1748は、17日に2回のMクラスフレアを発生させました。また、5月20日、22日には別の黒点領域でMクラスフレアが各1回発生しました。
  • 5月15~18日と23日~25日にかけて2回のプロトン現象が発生しました。特に2回目のプロトン現象は、14か月ぶりに1,000PFU(静穏時は0.3PFU程度)を超える大きなものでした。
  • 5月22日のMクラスフレアの影響により地磁気が乱れ、27日から6月1日にかけて、GOES衛星が観測した静止軌道上の高エネルギー電子の量は、静穏時の千倍程度の高めの状態となりました。こうした状態となるのは2012年10月以来のことです。
  • 地磁気の状態は、5月15、16日、18日、26日にやや乱れた状態、25日には乱れた状態となり、6月1日~6月3日にかけては地磁気嵐が発生しました。これに伴い極域ではオーロラが観測されました。
  • 5月の黒点数の月平均値は、78.7と約1年半ぶりの高い値となりました。
  • NICTでは、宇宙天気に関する臨時情報を、4回の大型太陽フレアに関連したものを5月13日~19日までの間に6件、その後の太陽活動に関連したものを5月20日~6月5日までの間に9件発令しました。
  • 5月20日には弱いデリンジャー現象を確認しましたが、上記一連の太陽活動に伴う社会活動への影響については、今のところ確認しておりません。

現在、太陽活動は11年周期の極大期にあり、今後約5年程度をかけて極小に向かうと考えられています。これまでの観測では、ピーク後1~2年の下降期に大きな太陽活動が起こる事例も報告されており、この期間には引き続き注意が必要です。

NICTでは、このような大きな太陽活動が生じた際には、適宜、関連情報をWebおよび電子メールにて発信しています。



用語解説

太陽フレア現象

太陽の黒点群の領域で生じる爆発現象。太陽フレアに伴い、強い紫外線やX線、電波等が放射されるほか、高温のガスが放出されるCME現象が生じることもある。発生したフレアの最大値により、小規模なものからA、B、C、M、Xの順にクラス分けされている。

プロトン現象

GOES衛星で観測される、エネルギー10MeVを超える太陽高エネルギー粒子(陽子)のフラックスが10PFU以上になる現象。

PFU

Proton Flux Unit(プロトンフラックスユニット)の略。1PFUとは、1秒間に1平方センチの面積に対して、単位立体角から1個のプロトン粒子が入射することを意味する。

デリンジャー現象

太陽フレアによって放出される強い紫外線やX線の影響で電離圏の下部領域が異常電離し、短波を吸収する現象。



本件に関する問い合わせ先

電磁波計測研究所 宇宙環境インフォマティクス研究室

石井 守
Tel:042-327-7540
Fax:042-327-6163
E-mail: