NICT は、スマートメータ用の省電力無線機を接続した放射線量計を、福島県川内村に2 台設置し、それぞれの放射線量測定結果を収集し、継続的にインターネット上にデータを送る(アップロード)ことで、遠隔地からも多地点放射線量をリアルタイムにモニタリングできる、放射線量監視・警戒システムの動作実証をしています。
各放射線量計に接続されるのは、スマートメータにも適用されるスマートユーティリティネットワーク(SUN; Smart Utility Networks)という無線システムの無線機であり、電力供給が制限された場合や、電池で駆動する場合を想定した省電力動作を特徴の1つとしています。(システム構成:図1)
このシステムでは、モニタデバイスと呼ぶSUN 無線機搭載型の放射線量計を複数設置し、それぞれの放射線量測定結果をSUN 無線を介して収集制御局上に収集しています。収集された測定結果は、収集制御局から、コグニティブ無線ルータにより提供される広域アクセス無線等の手段で、インターネット上にアップロードされ、遠隔地からのアクセス及び確認が可能となっています。
2 台のモニタデバイスは、約100m の間隔をおいて公園の両端に設置され(図2)、それぞれの地点における放射線量測定結果を60 秒間隔で送信します。収集制御局はモニタデバイスからの測定結果をまとめ、コグニティブ無線ルータを介してインターネット上へのアップロードを行います。
このシステムにより、放射線量のモニタリング結果を、Web ブラウザ上で確認でき(図3)、放射線量測定値の地理的・ 時間的な変動を確認することができました。
福島県川内村では、2012年4月からの帰村に備え、継続的な除染作業が行われています。本システムを活用した多地点の継続的な放射線量モニタリングが、放射線量の定常的な監視と、気象等状況の変化による線量変化の警戒に効果的に寄与することを望んでいます。