東日本大震災により放射能漏れ事故を起こした東京電力福島第一原子力発電所の2号機に、国産の探査ロボット「クインス(Quince)」が投入され、現在、線量率の測定等に活用されています。
「クインス」は、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の戦略的先端ロボット要素技術開発プロジェクトによる、被災建造物内移動RT(ロボットテクノロジ)システム「閉鎖空間内高速走行探査群ロボット」として、2006年度から昨年度まで5年間、NICTを含む8研究組織(特定非営利活動法人国際レスキューシステム研究機構、東北大学、独立行政法人産業技術総合研究所、独立行政法人情報通信研究機構、株式会社シンクチューブ、ビー・エル・オートテック株式会社、バンドー化学株式会社、株式会社ハイパーウェブ)が共同で研究開発を行ってきました。
今回の原子力事故を受けて、千葉工業大学を中心とするプロジェクトチームが結成され、「クインス」を原子炉建屋に投入するために大幅に改修後、6月20日、東京電力に引き渡しました。「クインス」は、同発電所の原子炉建屋内で活用されている唯一の国産ロボットです。
このように、国内外の各機関では、災害やテロが起こった際、瓦礫下や汚染物質により人間が接近できない場所の状況把握を行うための探査ロボットの研究開発が進められています。
被災された皆様には心からお見舞い申し上げますと共に、本ロボットが少しでも役立ち、一日も早く復興されますことをお祈り申し上げます。