和歌山県白浜町がナーブネットの本格運用の開始

-自治体が独自財源を獲得して設備を再構築、自立運用-
2022年12月23日


国立研究開発法人情報通信研究機構

令和4年12月15日、和歌山県白浜町はデジタル田園都市国家構想推進交付金制度を活用した事業「耐災害ネットワークを活用した転職なき移住の実現」において耐災害ネットワーク(NerveNet ナーブネット)(当機構成果)を実装し運用開始したことを報道発表しました。
白浜町発表

当機構は白浜町と平成26年12月に覚書を結び、翌年5月から当機構が現地に設置したナーブネット実証環境により世界初の耐災害インターネットアクセス環境を住民や観光客に提供し続けてきました。この間、観光と防災の両立を図る町の特徴のひとつとして機能し、総務省ふるさとテレワーク事業等による企業誘致やワーケーションの推進にも役立てられ、関係人口の増加もみられました。令和3年3月には設備を移管し白浜町が運用を継続していました。そして、当機構も協力し白浜町が標記交付金へ応募したところ、本年3月に採択され、この度計画通りに実装が完了し運用が開始されました。

ナーブネットに関する白浜町との連携経緯

2006年インターネットを設計し直す「新世代ネットワーク」の一環で研究に着手
2013年技術移転契約を締結(ナシュア・ソリューションズ(株))
2014年南紀白浜空港旧滑走路にてナーブネットと無人航空機無線中継の公開実証実験実施
和歌山県白浜町と覚書を取り交わし、実証実験設備を開発し現地に構築
2015年世界初の耐災害ネットワークによるインターネットアクセスを開始
2016年白浜町予算で防災カメラと基地局を増設
2017年NECソリューションイノベータ(株)等が同設備を用いたテレワーク実証実験を実施
2018年白浜町予算で基地局を増設
2021年全設備を白浜町へ移管
2022年デジ田交付金事業に応募、採択、実施

事業概要

ワーケーション利用者への安心・安全で快適な環境を充実させ、一層の関係人口創出とIT企業誘致の加速化を図るため、当時当機構が設置し老朽化した基盤を本格運用環境に移行し、課題解決を組み込んだワーケーション環境の再構築を行う。

解決課題

さらなるIT企業誘致。災害時の誘致企業社員、観光客、地元住民と行政等とのエリア通話の確保(安全・安心)。ワーケーション体験取組企業やワーケーション取組者(個人)の情報の捕捉。デジタルによる移住者と地元住民の相互理解と格差解消の促進。

KPI

新規誘致企業数、ワーケーション視察団体数、関係人口捕捉数

システム概要

最新設備を15箇所へ導入(既設11箇所の交換、新規4箇所への増設)、各箇所にナーブネット基地局と太陽光パネルと蓄電池を設置、停電時に3日間の自立運用が可能。うち2箇所でインターネットへ接続。さらに3箇所にはバックアップのため衛星通信機能も追加(インテルサットVNOサービス)。白良浜(ビーチ全域)、千畳敷、旧滑走路等の屋外6箇所及び屋内7箇所でWi-Fiエリアを提供。インバウンド利用者も想定し欧州GDPR(General Data Protection Regulation:一般データ保護規則)に準拠した同意管理機能(NECソリューションイノベータ(株))を組み込んだWi-Fi利用手順を実行し利用者を捕捉。
ネットワーク構成(白浜町作成)
ネットワーク構成(白浜町作成)
ナーブネットは地域内の情報通信と情報共有を実現する分散型の情報通信プラットフォームであり、市販の各種無線回線や有線回線を利用して構築できます。インターネット経由の接続も可能です。各接続の速度は選択した回線に依存します。白浜町の例では、5GHz帯Wi-Fiで相互接続され、全21リンクの平均距離は1.6km、平均の実測スループットは230Mbpsです。これほど高速・広域でかつ耐災害性を備えたイントラネットは既存の技術や通信サービスでは提供することはできません。
(左)白浜町役場(上図⑧)屋上に設置された太陽光パネルと衛星通信アンテナ(写真下方)。 (中)白浜町役場屋内に設置されたナーブネット基地局(小型汎用PC)及び蓄電池。 (右)ホテルむさし(上図④)屋上に設置されたWi-Fiアンテナ、右下方に白良浜を望む。
(左)白浜町役場(上図⑧)屋上に設置された太陽光パネルと衛星通信アンテナ(写真下方)。
(中)白浜町役場屋内に設置されたナーブネット基地局(小型汎用PC)及び蓄電池。
(右)ホテルむさし(上図④)屋上に設置されたWi-Fiアンテナ、右下方に白良浜を望む。

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本件に関する問い合わせ先

レジリエントICT研究センター 企画連携推進室