人間の耳では判読できないデジタル技術でサイレン音に情報を載せる、「電子透かし技術」の一種です。周囲の車に搭載されたカーナビ、ドライブレコーダ、スマホなどの端末がサイレン音をキャッチして情報を取り出し、緊急車両の位置と進行方向を表示することで、自車の的確な退避の判断に役立ちます。
トップページ > 救急車の位置情報をサイレン音に載せて周囲のカーナビに表示
我が国の救急車のサイレンは960Hzと770Hzを基本周波数とする高低音(ピーポー)が0.6秒ごとに繰り返されています。救急車が自車の緯度経度をGPSによってリアルタイムに取得し、その数値によって変調した整数倍の高調波音を基本周波数に重畳して流すことで、周囲の車のカーナビ等がその音響から救急車の位置と進行方向を割り出すことができます。
赤外線や電波に情報を載せる場合と比較すると、音響電子透かしは、集中制御や無線通信が不要で容易に導入できる特長があります。
Windowsパソコン上で動作するアプリケーションとして本機能を実現しました。動作に必要なシステム構成は、Windowsパソコン(送信・受信側)、マイク(受信側)、スピーカ(送信側)、GPSレシーバ(送信・受信側)、及びネットアクセス機能(受信側)です。送信側PCがGPSレシーバによって得た自己の緯度経度をサイレン音に重畳してスピーカから流します。受信側PCはマイクによりそのサイレン音を拾い、送信側PCの緯度経度を、自己位置と共にGoogle Map上に表示します。対応OSはWindows XP以降です。
送信側から自己の緯度経度をサイレン音に載せて流し、受信側はGoogle Map上に赤色のピンでその緯度経度の位置(時々刻々変化する)を自己位置(緑色のピン)と共に表示します。
・薗田光太郎, 吉岡克成, 滝澤修, “同報音を用いた情報伝達方法および情報伝達装置”, 公開特許公報, 特開2009-128590
・“サイレン音に情報忍ばせ 救急車の接近 カーナビ表示”, 産経新聞, 大阪版 2010年12月4日夕刊1面
- “音響電子透かし技術”, DIME, 2011年2月15日号, 小学館