THz帯デバイスでは、動作に寄与するキャリアの伝導・散乱等の物理現象がピコ秒程度で生じます。そのため、デバイス内の物理を理解し、かつより高性能なデバイスを開発するためには、超高速現象の特性解明は非常に重要です。その際、電気的手法では時間分解能に限界があるため、本研究室では、数百フェムト秒の超短光パルスを利用してTHz帯デバイスの時間応答を測定し、デバイス特性を明らかにすることを目的としています。
一例として、図1はTHz量子カスケードレーザ(THz QCL)を測定対象とした測定系の模式図を示しています。ここでは、超短光パルスとTHz QCLを駆動するために用いる電流パルスの遅延時間を上手く調整することにより、デバイス内に瞬時的に擾乱を与えた際の発光特性変化を測定可能としています。図2は、超短光パルスが有るとき(赤)と無いとき(青)のレーザ出力-電流特性をそれぞれ示しており、光パルスによりレーザ出力が大きく減少しているのが見て取れます。これは、光パルス照射により生成された過剰キャリアにより強度の変調が起こっていることを示しています。
今後は更に詳細な検討を進め、その特性理解と共に、より高性能なデバイス開発や、その応用に対する指針を得ることを目指します。
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