THz時間領域分光法は、材料の分析評価の手法として非常に注目されています。液体ヘリウムのような寒剤を使わずにテラヘルツ波帯の分光が出来ることに加え、電磁波形状を測定するため、簡便に材料物質の複素誘電率を得ることができるためです。さらに、従来使われてきた水銀灯に比べて時間領域分光法で使われるテラヘルツ波源が小さいことから試料への集光性も良く、小さな試料の測定も可能となりました。
テラヘルツ波形状の検出では、大きく分けて二種類の方法が用いられます。一つは非線形結晶を用いたEO検出法、もう一つは光伝導アンテナ検出法です。前者のEO検出法の場合、結晶固有のフォノンによる不感帯域が約5~10THzに存在します。しかし、反射配置にした光伝導アンテナによる検出法は、基板表面で検出する方法であるため、検出帯域の不感帯域が存在しません。超短パルスレーザー技術を駆使することによって0.1~100THzに渡るテラヘルツ波の検出が可能なことを示しました。この技術をもとに材料評価システムを立ち上げ、0.1~12THzを測定帯域とした広帯域THz時間領域分光システムを立ち上げました(図1, 2)。
また、テラヘルツ波帯や通信帯で利用する材料開拓を行なうために、THz-TDSシステムを用いて、外部の研究機関(東北大学,国立天文台,甲南大学等)と共同で新奇物質のテラヘルツ波への応答を調べています(図3)。
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